捨象(読み)シャショウ

デジタル大辞泉 「捨象」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐しょう〔‐シヤウ〕【捨象】

[名](スル)事物または表象からある要素側面性質抽象するとき、他の要素・側面・性質を度外視すること。→抽象
[類語]具体抽象具象

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捨象」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐しょう‥シャウ【捨象】

  1. 〘 名詞 〙 物事の表象から、一つまたはいくつかの特徴を分けて取り出す抽象を行なう場合に、それ以外の特徴を捨て去ること。また、概念について抽象する場合、抽象すべき特性以外の特性を捨て去ること。抽象作用の否定的側面。
    1. [初出の実例]「自我の要求によりて強調せられ若しくは捨象せらる可き経験は」(出典:三太郎の日記(1914‐18)〈阿部次郎〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「捨象」の意味・わかりやすい解説

捨象
しゃしょう

抽象

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の捨象の言及

【抽象】より

…具体に対する。みずからをかこむ環境世界の中からある一群の特性を捨象して,残りの特性を選別するという働きは,広い意味でいえば,最下等なものを含めた生物一般に,生存のための不可欠の能力として見られるものであり,そのかぎりでは人間に特有なものではないが,とりわけ高度に発達した分節言語を持つ人間においては,抽象の能力は他の動物とは比較にならないほど精緻かつ複雑なものになっている。分節言語そのものが,そのつどの具体的状況や個別的対象にしばられることのない,さまざまなレベルでの普遍概念を駆使するものとして,ある意味では抽象の能力そのものにほかならぬという性格をもち,人間を具体的個別的な状況から引きはなしてみずからの置かれた状況に距離をとって対処する自由を得せしめるものと考えられるからである。…

※「捨象」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android