→抽象
…具体に対する。みずからをかこむ環境世界の中からある一群の特性を捨象して,残りの特性を選別するという働きは,広い意味でいえば,最下等なものを含めた生物一般に,生存のための不可欠の能力として見られるものであり,そのかぎりでは人間に特有なものではないが,とりわけ高度に発達した分節言語を持つ人間においては,抽象の能力は他の動物とは比較にならないほど精緻かつ複雑なものになっている。分節言語そのものが,そのつどの具体的状況や個別的対象にしばられることのない,さまざまなレベルでの普遍概念を駆使するものとして,ある意味では抽象の能力そのものにほかならぬという性格をもち,人間を具体的個別的な状況から引きはなしてみずからの置かれた状況に距離をとって対処する自由を得せしめるものと考えられるからである。…
※「捨象」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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