長床(読み)ナガトコ

デジタル大辞泉 「長床」の意味・読み・例文・類語

なが‐とこ【長床】

《「ながどこ」とも》寺院などで、板敷きの上に一段高くして、長く畳を敷いた所。
「我独り両所の御前にて―にぬ」〈梁塵秘抄口伝・一〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「長床」の意味・読み・例文・類語

なが‐とこ【長床】

〘名〙 (「ながどこ」とも)
① 寺院などで、板敷の上に一段座を高くして、横に長く畳を敷いた所。ここで、僧などが修行をしたりする。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「寺房のながどこのやうに、畳一敷しくばかりの程」
② 長い立派な床の間
浮世草子新可笑記(1688)五「大書院の長床(ナカトコ)に甲立をかざり」

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改訂新版 世界大百科事典 「長床」の意味・わかりやすい解説

長床 (ながとこ)

神社建築の一つ。本殿前方にたつ細長い建物で,拝殿と明確に区別されていない例もあるが,長床は熊野系の神社に多くみられ,単なる拝殿ではなく,修験者,行人(ぎようにん)ら長床衆に一時の宿泊・参籠の場を提供する。また山形県庄内地方では部屋に区切られ,いろりがあり,宮座氏子の集合場所にあてられて,膳,椀,鍋釜などの格納設備をもつものが多い。長床の名称で重要文化財に指定されている建物に,福島県喜多方市の熊野神社長床(鎌倉時代),宮城県仙台市の大崎八幡神社長床(江戸時代)などがある。
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