アントロン

化学辞典 第2版 「アントロン」の解説

アントロン
アントロン
anthrone

C14H10O(194.23).アントラキノンを酸と金属を用いて還元するか,2-ベンジル安息香酸をフッ化水素酸で還元すれば得られる.9-アントロールケト形に相当する.結晶融点154 ℃.ベンゼンに熱時溶ける.水酸化アルカリ水溶液には溶けないが,加熱すると9-アントロールになって溶ける.容易に酸化されてアントラキノンとなり,また種々のアルデヒドと縮合する.いわゆるアントロン系建染め染料原料となり,また糖の定量検出にも用いられる.[CAS 90-44-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントロン」の意味・わかりやすい解説

アントロン
anthrone

アンスロンともいわれる。無色針状晶,融点 154℃。ベンゼンに溶かして熱すると異性化してアントラノール変り,淡黄色を呈し,青いケイ光を発する。糖の水溶液をアントロンの濃硫酸溶液に加えると青緑色を示す (アントロン反応) 。この反応は非常に鋭敏で,糖の検出・定量に利用される。

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