異性化(読み)イセイカ(その他表記)isomerization

デジタル大辞泉 「異性化」の意味・読み・例文・類語

いせい‐か〔‐クワ〕【異性化】

化学的、物理的作用により、ある化合物がその異性体に変化すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「異性化」の意味・わかりやすい解説

異性化
いせいか
isomerization

化学的作用あるいは物理的作用によって、ある異性体を別の異性体に変化させること。工業的には、炭素原子数5~6個程度の直鎖パラフィンをオクタン価の高い分鎖イソパラフィンに変換するプロセスが重要である。塩化アルミニウム白金などを触媒としてペンタンヘキサンイソペンタン、イソヘキサンに異性化するが、オクタン価の向上に対する生産コストが高く、補助的な石油改質に利用されることが多い。

 ある光学活性体がその対掌体(互いに実像と鏡像の関係にある1対の光学異性体)に変化する過程も異性化の一つと考えられるが、その生成物が右旋性d体と左旋性であるl体の1対1の混合物となることが多く、この場合はラセミ化とよばれる。

[岩本振武]

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改訂新版 世界大百科事典 「異性化」の意味・わかりやすい解説

異性化 (いせいか)
isomerization

分子式を変えることなくその化学構造を変える反応をいう。石油精製工業ではn-パラフィンをイソパラフィンに変え,オクタン価を高める方法がある。たとえば,

この反応を行わせるためには,塩化アルミニウム,リン酸,シリカ-アルミナ系固体酸などの酸性触媒が必要である。またゼオライトに白金などを担持させた二元機能触媒を用い,ガソリンを水素加圧下で異性化する方法もある。石油化学工業で重要な異性化反応の例は次式に示すようなキシレンの異性化であり,需要の少ないm-キシレンを需要の多いo-またはp-キシレンに変換する。

 この反応には,塩化アルミニウム,フッ化ホウ素フッ化水素,ZSM-5(合成ゼオライト)などが用いられる。
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化学辞典 第2版 「異性化」の解説

異性化
イセイカ
isomerization

一般には,分子構造の異なる異性体を生成する反応のこと.とくに炭化水素においては,固体酸触媒上で進行する代表的化学反応の一つ.工業的には,石油中のナフサ留分を高オクタン価ガソリンに転化する接触改質プロセスなどで,芳香族化反応と並ぶ重要な反応である.接触改質では,水素化,脱水素触媒機能を有するPt触媒などとアルミナなどの固体酸触媒とを組み合わせた二元機能触媒が使用される.そのほか,同様の触媒を用いて,ナフサ中でオクタン価の低い直鎖パラフィンをイソパラフィンに変換する骨格異性化反応や,ZSM-5型ゼオライト触媒を用いるキシレンの異性化反応などがよく知られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「異性化」の解説

異性化

 ある化合物が,異性体に変化すること.例えば,ラセミ化ではS体がR体に変化する反応が起こる.シス型がトランス型になる反応などもある.

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