キャッシュ・マネジメント・システム(読み)きゃっしゅまねじめんとしすてむ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

キャッシュ・マネジメント・システム
きゃっしゅまねじめんとしすてむ
cash management system

複数のグループ会社をもつ企業が、連結決算対象企業の資金を効率的に循環させるために用いる仕組み。略称CMS。具体的には、特定の銀行口座に子会社余剰資金をプールしておき、先払いの仕入れ代金支払いなど一時的な資金ニーズが生じた場合、当座の資金をそこから借り入れるようにルールを定めておく(プーリング)。これにより、グループ全体の資金繰り状況を本社の経理担当者がほぼリアルタイムで正確に把握できるようになる。さらに、資金繰りの厳しい子会社があった場合に個別に銀行から審査を受けて借り入れる必要がなくなるため、銀行へ支払う金利削減や、資金調達に要する時間の短縮につながる。グローバル企業の場合、円、ドルユーロなど取引通貨別に子会社群を分けて管理し、それぞれにキャッシュ・マネジメント・システムを設定することで為替手数料や為替変動リスクを避けることも可能になる(インターナショナル・キャッシュ・マネジメント)。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

人材マネジメント用語集 の解説

キャッシュ・マネジメント・システム

・cash management system
・グループ企業の資金を親会社や中核会社が同一銀行内に専用口座を設置し、集中管理することにより、効率的な連結運営や資金運用をする手法、またはそのシステムのこと。
・導入するメリットは、支払い業務の自動化・一本化などにより効率化・コスト削減が実現できることがあげられる。
・具体的には、グループ各ごとに資金管理担当者の配置が必要がなくなるとともに、プールされた資金を設備投資や運転資金を必要な会社に優先的に振り分けることによって、都度の資金調達が不必要になり、余剰資金を減少、借入金利を削減することができる。また、グループ内の債権債務を相殺することにより決済手数料の削減等も可能となる。
・以前は、グループ会社が数十社もある売上高1兆円超の大企業に導入されていることが多かったが、1997年に解禁になった純粋持ち株会社制度により効率的な経営を目指す企業が増え、近年では中堅規模の企業でも導入が増えている。
・導入には監査法人、金融機関の支援のもと、ITコンサルティング会社等を介すことが一般的である。

出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報

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