ユーロ

デジタル大辞泉 「ユーロ」の意味・読み・例文・類語

ユーロ(Euro)

多く複合語の形で用い、ヨーロッパの、の意を表す。「ユーロ市場」
(euro)2002年から導入されたEU欧州連合)の単一通貨。記号は€。アイルランドイタリアオーストリアオランダギリシャスペインスロベニアドイツフィンランドフランスベルギーポルトガルルクセンブルクのほかに、2008年1月からキプロスマルタ、2009年1月からスロバキア、2011年1月にエストニア、2014年1月にラトビア、2015年1月にリトアニアで導入され、合計19か国で使われている。→政府無き通貨
[補説]2のユーロは、バチカンサンマリノモナコアンドラモンテネグロコソボなどのEU非加盟国でも法定通貨として使用されている。

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精選版 日本国語大辞典 「ユーロ」の意味・読み・例文・類語

ユーロ

  1. ( [英語] Euro )
  2. [ 1 ] 〘 造語要素 〙 他の語の上について「ヨーロッパの」の意を表わす。「ユーロ市場」「ユーロダラー」など。
  3. [ 2 ] 欧州連合(EU)の共通通貨の名称、およびその通貨単位。一九九五年一二月にマドリードで開かれた首脳会議で、それまでの仮称エキューに替わって採用が決定され、一九九九年一月から実施された。

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百科事典マイペディア 「ユーロ」の意味・わかりやすい解説

ユーロ

ヨーロッパ連合(EU)の通貨統合にともない1999年1月から導入された単一通貨の単位。1979年発足のヨーロッパ通貨制度における計算単位ECU(エキュー)に代わって,1995年この呼称が決定された。当初は非現金分野のみで流通し,現金取引はユーロと固定換算率で結ばれた各国通貨でなされ,2002年1月に新紙幣・硬貨が一般に流通し,半年で各国旧通貨と交換された。紙幣は額面5から500まで7種類,補助単位は1ユーロ=100セントで,1セントから2ユーロまで8種類の硬貨が発行される。紙幣のデザインでは共通の図柄に参加各国が独自の図柄を追加できる。ユーロ導入のために1998年ヨーロッパ中央銀行制度が発足した。EU15ヵ国中の11ヵ国が参加して始動したユーロは,ドルに次ぐ基軸通貨となった。2001年ギリシア,2007年スロベニア,2008年キプロスとマルタ,2009年スロバキア,2011年エストニアと参加国が増え,2013年現在17ヵ国,3億2600万人の単一通貨・経済圏となっている。しかし,ユーロ以前にドイツのマルクやフランスのフランのような強い通貨をもっていた国とギリシアのドラクマのように相対的に弱い通貨の国が単一通貨に統合されて運用されることから,後者に極端な信用バブルが生まれた。この信用バブルは各国に赤字国債の発行を容易にさせ実体経済とはかけ離れた投資を世界中から呼び込む結果をもたらし,さらに不動産バブル,証券バブルをふくらませることとなった。ユーロ参加の条件として参加国は財政中期計画(5ヵ年)を欧州委員会に提出し,財政赤字比率を単年度3%以下に抑えることなどが求められていたが,実際にはこの仕組みは機能せず,2008年に顕在化するギリシアの財政危機を皮切りに,ポルトガル,スペイン,イタリア,キプロスなど各国で金融・財政破綻を引き起こしEUそのものの存亡にかかわる深刻な問題に発展している。→ヨーロッパ通貨統合ユーロ危機
→関連項目イギリスイタリア欧州金融安定ファシリティギリシアギルダー経済通貨同盟スウェーデンスペインCFAフランデンマークドイツフィンランドフラン(通貨)フランクフルト・アム・マインフランスベルギーポルトガルマーストリヒト条約マルク(通貨)ヨーロッパ市場統合ヨーロッパ理事会ラトビアリトアニアリラ(通貨)ルクセンブルク(国)

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知恵蔵 「ユーロ」の解説

ユーロ

EUの単一通貨の通貨単位のこと。基本通貨単位であるユーロの他、補助単位としてセント(1ユーロ=100?)がある。2006年8月現在、EU25カ国のうち、12カ国(フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、オーストリア、アイルランド、フィンランド、ギリシャ)が参加しているが、07年1月からスロベニアが、04年拡大で加盟した旧社会主義国として初めて加わる。これら諸国はドルに対抗するユーロ圏を形成。欧州の単一通貨統合は部分的に19世紀にフランス・金フランを中心に実現したことがある。ユーロは1999年1月に参加国間で銀行取引など非現金取引が開始され、02年1月に紙幣・硬貨の一般流通が開始された。ユーロは、欧州中央銀行(ECB)と各国中央銀行によって管理されている。また、統一通貨参加基準(経済収斂基準)として、インフレ率が基準値未満であること、財政赤字と債務残高の対GDP比がそれぞれ3%と60%以下であること、為替相場が最低2年間は安定して推移していること、長期金利が基準値未満であること、中央銀行が独立していることが提示された。その後、為替が大きく変動する時期もあったが、変動幅を上下15%に拡大して欧州通貨制度(EMS)は安定した。欧州通貨機構(EMI)は各国が参加要件をクリアするのを監督し、ユーロ導入にあわせて1999年からECBとなった。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)


ユーロ

マーストリヒト条約(欧州連合条約)で規定された経済通貨同盟(EMU:Economic and Monetary Union)参加国に導入された欧州単一通貨の名称で、1995年12月のマドリード欧州理事会で合意された。99年1月1日からドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、オーストリア、フィンランドの11カ国(2001年1月1日からはギリシャも)に導入され、法定通貨となった。ユーロを導入しようとするEU加盟国は一定の経済収れん条件(物価、長期金利、為替相場、財政赤字と債務残高)を満たすことが要求される。導入国では欧州中央銀行(ECB)がEU諸国の各国中央銀行と共に欧州中央銀行制度(ESCB)を構成し、単一金融政策を策定・運営する。02年1月からはユーロ紙幣・硬貨の流通が始まり、2カ月の二重流通期間を経て各国通貨は回収された。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

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改訂新版 世界大百科事典 「ユーロ」の意味・わかりやすい解説

ユーロ
Euro

ヨーロッパ連合(EU)が1999年1月から導入した単一通貨の呼称であり,またその計算単位。原参加国はベルギー,ドイツ,スペイン,フランス,アイルランド,イタリア,ルクセンブルク,オランダ,オーストリア,ポルトガル,フィンランドの11ヵ国。ギリシアは2001年1月から参加した。2002年1月よりユーロ紙幣・コインの流通が開始された。
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FX用語集 「ユーロ」の解説

ユーロ

1999年1月に発足した欧州連合(EU)の単一通貨のことをいいます。当時のEU加盟国15カ国のうち、イギリス、デンマーク、スウェーデンを除く12 カ国が2002年3月1日に自国の通貨を永久に放棄してユーロを採用しました。その後、2007年1月1日にはスロヴェニア、2008年1月1日にはキプロスとマルタ、そして2009年1月1日にはスロバキアがユーロを採用し、ユーロ圏は下記の16ヶ国に拡大しました。ベルギー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、キプロス、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、スロヴェニア、フィンランド、スロバキア

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ユーロ」の解説

ユーロ

欧州の通貨単位。日本の「円」、米の「ドル」などと同じ通貨の単位。ただし、「その国のお金」ではなく、欧州の12カ国によって国境を越えた1つの通貨として使用されている。1999年に導入以降、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの12カ国で使用されているが、イギリスとデンマーク、スウェーデンは導入を見合わせている。為替相場が安定する結果、国内外の投資活動が活発になると期待され、今後も導入に拍車が掛かる見通し。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ユーロ」の解説

ユーロ

欧州通貨制度,⇨ ヨーロッパ連合

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世界大百科事典(旧版)内のユーロの言及

【経済通貨同盟】より

… EMUは94年1月から第2段階に入り,後に設立されるヨーロッパ中央銀行の前身としてヨーロッパ通貨機構European Monetary Institute(EMI)が設立され(1994年1月,本部フランクフルト,ランファルシー総裁),第3段階における単一通貨の発行および金融政策の一元化に向けての準備を行うことになった。さらに95年12月のヨーロッパ理事会(EUサミット)において,(1)第3段階への移行時期を99年1月1日とすること,(2)同時に導入される単一通貨の名称はユーロEuroとすることが決定された。この間,第3段階への移行に関する具体的な検討も進展した。…

※「ユーロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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