シンジュガヤ(英語表記)nutrush
Scleria levis Retz.

改訂新版 世界大百科事典 「シンジュガヤ」の意味・わかりやすい解説

シンジュガヤ
nutrush
Scleria levis Retz.

球形で堅く,光沢のあるクリーム色の果実がちょうど真珠を思わせるので真珠茅(しんじゆがや)の和名がある。熱帯を故郷とするカヤツリグサ科の1種である。茎は短い根茎から直立し,高さ80cmくらいで,数個の節があり,中央部から上に数枚の葉をつける。葉鞘(ようしよう)に翼がある。9月ころ,茎の頂にまばらな円錐花序を出し,雄と雌の褐色を帯びた小穂をつける。果実は球形で径2.5mmくらいで,白っぽい。本州の紀伊半島以西から四国,九州,琉球諸島のやや湿った草地に見られ,さらに中国南部から,東南アジア,北オーストラリアニューカレドニアインド亜大陸に広く分布する。熱帯中心のシンジュガヤ属は世界に200種余り知られ,南アメリカに最も多く,日本には7種ある。

 カガシラDiplacrum caricinum R.Br.はシンジュガヤ属に非常に近縁な植物で,熱帯アジアに広く分布し,日本では関東地方以南に時々見られる。高さ20cmくらいの細い一年草で,カ(蚊)の頭のような形の小さい小穂を葉腋(ようえき)につけるから蚊頭(かがしら)という。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンジュガヤ」の意味・わかりやすい解説

シンジュガヤ
しんじゅがや / 真珠茅
[学] Scleria levis Retz.

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の多年草。太い根茎を伸ばし、群生する。草丈50~90センチメートル、茎の断面は三角形。葉は幅5~8ミリメートルで、やや堅い。花期は夏から秋。果実は球状灰白色表面は堅くエナメル質状になる。日当りのよい湿地に生え、和歌山県、四国から沖縄、および東アジアからインド、オーストラリアの暖帯、熱帯に分布する。名は、果実を真珠に見立てたものである。

[木下栄一郎 2019年7月19日]

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