五更（読み）ゴコウ

デジタル大辞泉

ご‐こう〔‐カウ〕【五更】

１ 一夜を初更（甲夜）・二更（乙夜いつや）・三更（丙夜）・四更（丁夜）・五更（戊夜ぼや）に五等分した称。
２ 五更の第五。およそ現在の午前3時から午前5時、または午前4時から午前6時ころにあたる。寅とらの刻。戊夜。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ご‐こう ‥カウ【五更】

〘名〙

① 一夜を五分した時刻の名称。初更（甲夜）、二更（乙夜）、三更（丙夜）、四更（丁夜）、五更（戊夜）の五つに分ける。季節によって相違する。午後五時すぎないし七時半から、順次おおよそ二時間ずつに区切った時刻に相当する。

※類聚名物考（1780頃）時令部二「五更 一夜を五更に分つ事西土の制にして顔氏家訓にも見えたり」 〔顔氏家訓‐書証〕

② 一夜を五分した最後の時刻。現在の時刻で、春は午前三時頃から五時頃まで、夏は午前二時頃から四時頃まで、秋は午前二時半すぎから五時頃まで、冬は午前三時二〇分すぎから六時頃まで。寅の刻。戊夜(ぼや)。五声。

※菅家文草（900頃）一・八月十五夕待月「五更待_レ月事何如、物色人情計会疎」

※太平記（１４Ｃ後）七「時打つ鼓の声を聞けば、夜は未だ五更の初め也」 〔杜甫‐至日遣興詩〕

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【五更】ごこう（かう）

夜を五分した五番め。戊夜。甲夜（初更、午後八時）より二時間ずつ乙夜（二更）・丙夜（三更）より五更（四時）に至る。〔漢官典職儀式選用〕衞士、甲乙徼(むか)へて相ひ傳ふ。甲夜畢(をは)りて、乙夜に傳へ、相ひ持して五を盡す。

字通「五」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

日本大百科全書(ニッポニカ)

五更
ごこう

古代中国の時刻制度で、一夜の5区分をいい、日本においても用いられた。「更」とは、一更ごとに夜番が交代する義であり、午後7時ないし8時から、順次2時間を単位に、初更（甲夜、一鼓）、二更（乙夜、二鼓）、三更（丙夜、三鼓）、四更（丁夜、四鼓）、五更（戊(ぼ)夜、五鼓）とくぎり、午前5時ないし6時に至る。「更」は「歴(れき)」「経(けい)」ともいった。とくに最後の第五更をさし、また総称として一夜の意を表す場合もある。

［兼築信行］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)