一鼓(読み)いっこ

精選版 日本国語大辞典 「一鼓」の意味・読み・例文・類語

いっ‐こ【一鼓・壱鼓】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 一度、鼓(つづみ)を打つこと。また、鼓を打ち鳴らして、攻めること。
      1. [初出の実例]「攻宮崎城、一鼓抜之」(出典日本外史(1827)一一)
      2. [その他の文献]〔呂氏春秋‐執一〕
    2. 雅楽器の一つ。細腰鼓最小のもので、形は小鼓に類似し、形の大きさにより、順次二鼓、三鼓と名づける。
      1. [初出の実例]「打物の事。うち物おほかれど、この朝にのこる所、鞨鼓、大鼓、鉦鼓。一鼓」(出典:残夜抄(1237頃か))
  2. [ 2 ] ( 壱鼓 ) 雅楽舞曲の名。左舞に属し、一人は一鼓を、他は二鼓(少し大きい鼓)をそれぞれ首にかけ、楽に合わせて打ちながら舞う特殊な曲。〔楽家録(1690)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一鼓」の意味・わかりやすい解説

一鼓
いっこ

「壱鼓」とも書く。 (1) 雅楽で用いる鼓。長さ 36cmの胴の両端に直径 24cmの皮をあて,赤い調緒 (しらべお) で締める。古くは唐楽に用いられたが,現在は羯鼓 (かっこ) で代用する。また,左方舞楽の『一鼓』や『一曲』で舞人が用いる。 (2) 雅楽の曲名。特殊な性格で雑楽と称される。舞があり2人で舞う。まず平調 (ひょうぢょう) の音取 (ねとり) を奏したのち,1人は一鼓を,もう1人は二鼓を胸に吊り,蛮絵装束を着けて,唐楽の裏頭楽 (かとうがく) を伴奏に舞う。左舞にも右舞にも属さない特殊な舞。

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