分蘖(読み)ブンケツ(英語表記)tillering

デジタル大辞泉 「分蘖」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐けつ【分×蘖】

[名](スル)《「ぶんげつ」とも》稲・麦・トウモロコシなどで、茎の根に近い節から新しく茎が発生すること。また、その茎。株張り。

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精選版 日本国語大辞典 「分蘖」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐けつ【分蘖】

〘名〙 イネ・ムギなど主にイネ科植物が、茎基部の節から枝を分けること。株張り。
稲熱病(1939)〈岩倉政治〉四「ところが大事な分蘖(ブンケツ)期の六月に入って」

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改訂新版 世界大百科事典 「分蘖」の意味・わかりやすい解説

分蘖 (ぶんげつ)
tiller

イネ科農作物の地際に形成される側枝。また側枝の形成される現象を示す用語としても使われる。イネ科の農作物の多くでは,主茎の基部には多数の葉が密生し,各葉腋ようえき)に側芽に相当する分げつ芽が形成される。分げつ芽は主茎の葉の発育と対応して発育し,分げつとなる。この対応関係はイネ,コムギでは極めて規則的なことが知られており,また発育した分げつは基部に特異な形態を示す1枚の前葉を有するほかは,主茎と類似した外観を呈するようになる。したがって,ある程度発育した作物体の草型は束性となり,主茎と分げつの区別はほとんどわからなくなる。それぞれの分げつは主茎同様,最終的には先端に穂をつけるが,生育途上で枯死する分げつは無効分げつと呼ばれ,穂をつける有効分げつと区別される。分げつの多少は草型や収量とも密接に関係するため,品種の特性として重視される形質となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分蘖」の意味・わかりやすい解説

分蘖
ぶんけつ
tillering

主として稲,麦などイネ科の作物で,地面に近い茎の関節から枝分れすること。イネ科植物の茎の下位には節間のつまった多くの節があり,各節の葉腋に芽を生じ,これが生長して新しい茎となる。下部から順に2次,3次の分蘖が生じる。分蘖数は収量に影響するので,肥培管理,土壌管理などによってその促進をはかる。分蘖数は作物や品種によって異なるので,分蘖数の多い場合には粗植を,少い場合には密植を行う。

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世界大百科事典(旧版)内の分蘖の言及

【イネ(稲)】より

…北海道南部には江戸時代(18世紀)に導入されているが,北海道に本格的な稲作が始まるのは明治時代に入ってからのことである。
【形状】
 草高は数十cmからときに数mに達し,株基部から多数の側枝(分げつ)を出し,束状を呈する。葉は茎の節に互生し,長さ40~50cmに及ぶ。…

※「分蘖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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