一定面積に多くの作物個体を植え込むこと。この逆が疎植である。植物生態学の研究によれば,栽植密度と単位面積当りの収量との間には〈最終収量一定の法則〉があり,ある密度までは,密度の上昇に伴って収量が向上していくが,ある密度以上では収量は頭打ちとなり,それ以上増加しないといわれている。したがって,密植は作物の収量を上げるための一つの方法であるが,(1)作業により多くの労力を必要とする,(2)個体間の光や養分の奪い合いが起こりやすく,各個体が貧弱となる,(3)過繁茂による光不足と多湿条件が病害虫の発生しやすい状態を作り出す,などのマイナス面が生ずる。実際の作物栽培に際しては,これら諸点を考慮して多収のための最適の栽植密度を決めることが望ましい。最適の栽植密度は栽培の条件や品種によって変動する。イネでは深耕,多肥,短稈(たんかん)直立型の品種を組み合わせることによって養分と光の奪い合いを緩和し,機械移植によって労力面をカバーすれば,密植の程度を高め,多収を期待することが可能となる。寒地の稲作では初期生育の確保が必要であり,密植はそのためにも有効である。ただし,イネでは穂をつけない無効分げつの発生が密植により増加するという面もあるので,これをなくすため,あらためて,疎植あるいは1本植えの栽培法を見直そうとする動きも出ている。果樹類は定植後収穫までに年数を要することから,初め密植とし,生育に伴って間伐あるいは植替えによって密度を減らす方法をとる。これを計画的密植栽培という。
執筆者:浜村 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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