半畳(読み)ハンジョウ

デジタル大辞泉 「半畳」の意味・読み・例文・類語

はん‐じょう〔‐デフ〕【半畳】

たたみ一畳の半分。また、その畳。
江戸時代芝居小屋などで観客が用いた一人用の小さな敷物。また、その賃貸を業とした「半畳売り」の略称
芝居で、見物人役者に対して投げる非難からかい言葉。転じて、人の言動を茶化したりやじったりする言葉。「半畳を言う」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「半畳」の意味・わかりやすい解説

半畳 (はんじょう)

江戸期の劇場の土間席で観客が用いた敷物,またこれを賃貸する〈半畳売り〉の略語。半畳は畳表へ布地を貼った粗末なもので,賃貸料は貞享年間(1684-88)で5文,1803年(享和3)に10文。〈半畳を入れる〉〈半畳を打ち込む〉という通語は,俳優の演技などに不満・反感を表現する際,観客がこの敷物を舞台に投げる行為から起こった。半畳売りは観客の勧誘やその他大道具手伝いなど劇場雑務を兼任し,火縄売りとともに〈声番〉が任務にもなっていた。声番は助六花道の出に〈助六様ァ,団十郎様ァ〉などと賞める役職。半畳売りの溜りは揚幕のそばにあった。
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