熊谷直行(読み)くまがい・なおゆき

朝日日本歴史人物事典 「熊谷直行」の解説

熊谷直行

没年:明治40(1907.3.17)
生年天保14.6.4(1843.7.1)
明治期の実業家京都の香商鳩居堂8代目当主。香具屋久兵衛とも称す。祖父直恭,父直孝と同様に熱心な社会活動派で,維新期から明治にかけて社会改革に取り組んだ。明治1(1868)年には早くも建白書有志と共に京都府に提出し,国民教育の重要性を指摘して小学校建設の意義を訴えた。このときには詳細な仕法書を作成し,その経営の目論見(計画書)を提案している。勧業事業についても民産勧奨の立場から,「市中小前ノ者引立世話役頭取」として商法会社詰となり,三井元之助らの実業家と共に活躍した。中国の墨の販売を契機文具の普及にも努め,明治13年東京銀座に鳩居堂の支店を開いた。

(森谷尅久)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「熊谷直行」の解説

熊谷直行 くまがい-なおゆき

1843-1907 明治時代の実業家。
天保(てんぽう)14年6月4日生まれ。熊谷直孝(なおたか)の長男。京都の筆墨・香商鳩居(きゅうきょ)堂の8代当主。筆墨製造を研究して事業化に成功し,明治13年東京銀座に支店をだす。小学校建設の意義をうったえ,民間産業を奨励するなどの社会活動にもつくした。明治40年3月17日死去。65歳。

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