狂犬病(恐水病)(読み)きょうけんびょうきょうすいびょう(英語表記)Rabies

家庭医学館 「狂犬病(恐水病)」の解説

きょうけんびょうきょうすいびょう【狂犬病(恐水病) Rabies】

[どんな病気か]
 狂犬病にかかっているイヌにかまれ、唾液(だえき)に含まれる狂犬病ウイルスが人間に感染しておこります。
 発病すると、たいていは生命にかかわる悪性の病気です。
 日本、イギリスなどの島国では、イヌの管理が行き届いているので近年、この病気の発生をみていませんが、大陸諸国では、狂犬病にかかっている野生動物の管理が不可能なため、かなりの発病がみられます。
[症状]
 イヌにかまれてから早ければ10日、おそいと半年くらいたって、かまれた傷あとから、からだの中心にむかって放散する痛み、食欲不振、不眠、唾液の過剰分泌(かじょうぶんぴつ)などで発病します。2~3日たつと興奮しやすくなり、風、光、音、水などの刺激に過剰に反応し、のどから胸にかけての筋肉がけいれんをおこします。しまいには、水を見ただけでこわがり、のどの筋肉がけいれんをおこします(恐水病の病名の由来)。
 やがて、けいれんの発生が少なくなってまひ期に入り、発病後3~5日で呼吸まひで死亡します。
[予防]
 発病してからでは治す薬がありません。したがって、予防がなによりたいせつになります。
 イヌは、狂犬病予防法という法律によって、イヌの登録鑑札かんさつ)、予防注射が義務づけられています。
 狂犬病の発生がないので、日本にいるかぎり人間が予防接種を受ける必要はありませんが、狂犬病発生地域(東南アジアインドアフリカ南米)へ行く人は、ぜひ、予防接種を受けましょう。1980年以降使用されているのは不活化ワクチンで、副作用はほとんどありません。

出典 小学館家庭医学館について 情報