遷宮遷座(読み)せんぐうせんざ

改訂新版 世界大百科事典 「遷宮遷座」の意味・わかりやすい解説

遷宮・遷座 (せんぐうせんざ)

神殿の改修造営に際して,神霊を移すこと。この場合,遷宮は伊勢神宮にのみ用い,一般神社では遷座といい,その祭儀を遷宮祭,遷座祭という。伊勢神宮では,7世紀後半の天武朝以来20年に1度〈式年遷宮〉が行われ,中世戦乱期に一時遅延したが,現在まで続いて行われている。古くは式日を外宮は9月15日,内宮は9月16日と定められ,これが例年神嘗祭(かんなめさい)に当たることから,神殿を新たにして行われる大神嘗祭としての性格を有している。神宮無双の重大儀とされている。神宮では,まったく同一の敷地が並列しておかれ,旧殿から新殿へと20年ごとに神座の位置が変わり,神体を移し終わった旧殿は取り除かれ,その敷地は古殿地(こでんち)と呼ばれる。また,火災や異常のことがあって行う遷宮を〈臨時遷宮〉と呼び仮殿を設けるので〈仮殿遷宮〉ともいう。

 一般神社の遷座祭には,定期と臨時の二つがあり,定期の場合は〈式年遷座祭〉といい,7年,13年,20年,30年,50年等の周期をもって祭儀を執行する。この場合,改修や造営を行おうとするときに神霊を本殿から仮殿(権殿)へ,竣工時に再び本殿に移すが,前者仮殿遷座祭(外遷宮),後者本殿遷座祭正遷宮)と呼ぶ。いずれも神霊の動座を伴うので最も重要な祭儀とされる。このほか,諏訪大社の下社などのように毎年春秋の2回遷座祭が行われる場合もあり,筑波山神社では,これを御座替り祭という。
式年造替
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