年数を定めて定期的に社殿を建て替えて更新する神社特有の制度。伊勢神宮では15,16世紀の戦乱の世に一時途絶えたこともあるが,今日も20年ごとに行われており,1973年の造替は60回目とされる。ここでは東西に隣接して同じ広さの敷地があり,遷宮(遷宮・遷座)に先立って,空いている方の敷地に新しい社殿をつくり,遷御の儀が終了してから古社殿は取りはらわれる。仁科神明宮(長野県大町市)には永和2年(1376)銘以後,20年ごとの棟札が保存してあり,江戸時代末までは乱れることなく20年ごとに造替されていた。ただ1636年(寛永13)以後は建物を建て替えず,屋根葺替えなどの修理をもってこれにあてている。式年造替は住吉,春日,香取,鹿島が20年,宇佐33年,出雲は60年を慣例とするなど,多くの古社にみられたが,江戸時代に途絶えた。式年造替の理由としては,かつて掘立柱であった社殿の耐用年数が20年ないし60年ほどであることと関係があると考えられる一方,それが成立した重要な動機として,宮廷の大嘗祭(だいじようさい)の諸施設は一代一度の祭儀のためにすべてを新しく造り替え,終了後に撤去されるが,宮廷内のこのような慣行から示唆をうけた可能性が強い。また一方,式年造替は神社建築に古い形式を長く保存しつづけることにもなった。
執筆者:宮沢 智士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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