電子分光法(読み)デンシブンコウホウ

化学辞典 第2版 「電子分光法」の解説

電子分光法
デンシブンコウホウ
electron spectroscopy

物質からなんらかの手段により電子を発生させ,あるいはなんらかの過程で発生した電子に注目し,その電子の性質と量を測ることにより,物質に関する情報,知見を得ようとする実験手段,およびそれにもとづく論議分野さし広義分光学の一部門である.自由空間に飛び出た自由電子運動エネルギー,もしくは運動量を電場,磁場,あるいはその組合せなどによるアナライザーで分光して,主としてエネルギー準位を中心にした情報が得られる.電子を発生させる手段により組み分けされるいくつかの分野があり,単色光を用いる光電子分光法電子衝撃により発生するオージェ電子に注目するオージェ電子分光法,励起原子ペニングイオン化による電子の分光をするペニングイオン化電子分光法,イオン照射によるイオン中性化電子分光法などがおもなものである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子分光法」の意味・わかりやすい解説

電子分光法
でんしぶんこうほう
electron spectroscopy

運動エネルギーをもつ電子のエネルギースペクトルを測定し,種々の物理情報を得ようとする測定法。物質から電子を放出させる照射源によって種々の種類があり,それぞれ異なった情報が得られる。光照射により生じた光電子のエネルギースペクトルを調べる光電子分光法,X線照射により生じた内殻よりの光電子を調べる ESCA (化学分析電子分光法) ,電子線の照射により内殻から放出されるオージェ電子を調べるオージェ電子分光法などがあり,非弾性的に散乱される電子のエネルギー損失スペクトルを調べる電子衝撃分光法なども含まれる。原子や固体内の電子状態,結合状態,固体表面の吸着原子の状態などを知ることができ,他方,その結果を利用して分析手段としても使われる。

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