風樹の嘆(読み)フウジュノタン

デジタル大辞泉 「風樹の嘆」の意味・読み・例文・類語

ふうじゅ‐の‐たん【風樹の嘆】

《「韓詩外伝」九から》静止していたいのに、風に吹かれて揺れ動かざるをえない樹木のように、子供孝行をしたいと思うときには、すでに親が死んでいてどうすることもできないという嘆き。風樹の悲しみ。風木の嘆。風木の悲しみ。
[類語]孝行のしたい時分に親はなし石に布団は着せられず子養わんと欲すれど親待たず木静かならんと欲すれども風止まず

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故事成語を知る辞典 「風樹の嘆」の解説

風樹の嘆

親孝行をしたいと思うときには、親はすでに亡くなっているという嘆き。

[使用例] 風樹の嘆は何人といえども免れ難からんも、就中なかんずくわれに於て最も多し[岡本綺堂*父の墓|1902]

[由来] 「韓詩外伝―九」に出て来る物語から。紀元前五世紀の初め孔子諸国を旅していたときのこと。道ばたでとても悲しそうに泣いている人物に行き合い、その理由を尋ねました。すると、その人物は、「静かならんと欲すれども、風止まず。子養わんと欲すれども、親待たざるなり(木がじっとしていたいと思っても、風はやんでくれない。それと同じように、子が養いたいと思ったときには、それを待たずに親は死んでしまっている)」と言うなり、枯れるように死んでしまったということです。

〔異形〕樹静かならんと欲すれども風止まず。

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