アイガー山(読み)あいがーさん(その他表記)Eiger

翻訳|Eiger

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイガー山」の意味・わかりやすい解説

アイガー山
あいがーさん
Eiger

スイス中部、アルプスベルナー・オーバーラントにある高峰標高3970メートル。ユングフラウメンヒとともにユングフラウ山群を形成する。インターラーケンから鉄道でクライネシャイデックに達すると、すぐ近くに見える。南にアイガー氷河を巡らし、北は1800メートルの高度差をもつ石灰岩の岩壁となってグリンデルワルトの谷に臨んでいる。登山史上しばしば登場する名峰で、初登頂は1858年、イギリス人チャールス・バリントンによって達成され、冬季初登頂は1890年、イギリス人M・M・ミード、ウッドラフによって行われた。1924年にはイギリス人アーノルド・ランらによってスキーによる初登頂がなされた。1921年には槇有恒(まきありつね)が東山稜(さんりょう)の初登攀(とうはん)を行い、日本人の登山技術が世界に知られ、これを契機としてヨーロッパの登山技術が日本に伝えられた。アイガー北壁は、マッターホルン、グランド・ジョラスとともにアルプス三大北壁として登攀の困難なことで知られ、アルピニストの挑戦の対象となった。北壁は、1938年、ドイツ人A・ヘックマイヤー、オーストリア人ハインリヒ・ハラーらによって初登攀され、冬季は1960年、同国のトニー・ヒーベラーらによって初登攀された。多くの日本人もこの北壁に挑み、女性では1969年に今井通子(いまいみちこ)が登攀している。

[徳久球雄]

『ハインリヒ・ハラー著、横川文雄訳『白いクモ』(1966・二見書房)』『槇有恒著『山行』(旺文社文庫)』『A・ヘックマイヤー著、安川茂雄訳『アルプス三つの壁』(1966・二見書房)』


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改訂新版 世界大百科事典 「アイガー山」の意味・わかりやすい解説

アイガー[山]
Eiger

スイス中南部,ヨーロッパ・アルプスのベルナー・オーバーラント山群にある名峰。アルプス観光の基地,グリンデルワルトの南に位置し,ユングフラウ,メンヒの2峰とともに山塊をなす。標高3970m。山体は結晶質石灰岩からなり,氷食をうけ,とくに北壁は高差1800mを有する大岩壁となっている。1858年8月11日イギリスのC.バリントンが南西面と西稜から初登頂に成功。1921年9月10日には,槙有恒がガイド3人と北東稜(ミッテルレギ山稜)の登攀(とうはん)に成功し,日本人のアルプスでの初登攀となった。アルプスでもっとも困難なルートの一つとみなされている北壁は,38年夏オーストリアのH.ハラーらによって初登攀された。69年夏,加藤滝男らは北壁の右手,〈赤い壁〉を経由する直登ルートを開拓,日本ルートの名をとどめた。
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世界の観光地名がわかる事典 「アイガー山」の解説

アイガーさん【アイガー山】

スイス中南部のヨーロッパアルプスの名峰で、同国を代表する山の一つ。標高は3975m。高さ1800mの岩壁であるアイガー北壁は、グランドジョラスのウォーカー側稜、マッターホルン北壁とともに三大北壁の一つで、最も困難な登山ルートとして知られる。アイガートンネル内にあるユングフラウ鉄道(Jungfraubahn)の上り列車(ユングフラウヨッホ行き)が停車するアイガーヴァント(Eigerwand)駅のホームに隣接する展望台から、ガラス窓越しにアイガー北壁を眺めることができる。アイガー北壁の麓には小さな村グリンデルヴァルト(Grindelwald)があり、アイガー観光の拠点として年間100万人の観光客が訪れる。

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