アインシュタイン方程式(読み)アインシュタインホウテイシキ(その他表記)Einstein equation

デジタル大辞泉 「アインシュタイン方程式」の意味・読み・例文・類語

アインシュタイン‐ほうていしき〔‐ハウテイシキ〕【アインシュタイン方程式】

アインシュタイン一般相対性理論から導いた、重力場についての方程式重力による時空のゆが曲率)は、物質またはエネルギーの場によって定まることを示す。ニュートン万有引力法則では適用できなかった、ブラックホールのような大質量天体や宇宙全体の時空構造などを表すことができる。また、時空の歪みが光速の波として伝わる重力波の存在が導かれる。アインシュタインの重力場方程式。

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法則の辞典 「アインシュタイン方程式」の解説

アインシュタイン方程式【Einstein equation】

一般相対性理論においては,時空を四次元のリーマン空間と考えて,物体の運動は空間によって定まるものと考える.逆に考えると,この空間の性質は,存在する物質と場の運動量,エネルギーのテンソル Tij によって定められる.この関係を与える式をアインシュタイン方程式という.

式のように表されるが,ここで Rij はリッチテンソル,R はスカラー曲率,&scriptg;ij が計量テンソルである.G はニュートンの万有引力定数c は光速度であるが,この式の右辺に現れる8πG/c4 はアインシュタインの重力定数という.Λ はL-2 の次元をもつ定数で「宇宙項」と呼ばれる.Λ-1/2 は宇宙の大きさに関係すると考えられる.

厳密解を求めるのはきわめて難しいが,それでも,シュヴァルツシルトの外部解内部解*ヴァイル解*富松‐佐藤の解*などいくつかの厳密解が知られている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アインシュタイン方程式」の意味・わかりやすい解説

アインシュタイン方程式
アインシュタインほうていしき
Einstein equation

1916年に理論物理学者アルバート・アインシュタインが提唱した一般相対性理論の基本方程式。物質やエネルギー分布によって時空のゆがみを決定する。Gμν=κTμνというかたちの式で,Gμνは時空のゆがみによって決まる量,Tμνは物質やエネルギーの分布を表す量である。この方程式は,物質によって重力万有引力)が発生することを説明しただけでなく,ブラックホール宇宙の膨張,重力のゆがみは波として伝わること(→重力波)など,従来のアイザック・ニュートンの重力理論では予想できなかった現象の存在を示唆した。

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世界大百科事典(旧版)内のアインシュタイン方程式の言及

【相対性理論】より

…数学的にいうと,重力ポテンシャルはポアソン方程式の解であり,ポテンシャルの源は質量分布である。このような重力場の方程式の拡張が,アインシュタイン方程式と呼ばれるものである。これは計量テンソルに関する2階偏微分方程式で,その源はエネルギー・運動量テンソルである。…

※「アインシュタイン方程式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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