翻訳|curvature
曲線や曲面の曲がる度合を表す量をいう。まず,平面上の曲線の場合を考えよう。曲線Cを弧長sを用いて媒介変数表示し,弧長sの点をP(s)で表す。また,Cの各接線には曲線の正の向き(sが増すときにP(s)の動く向き)と同じ向きをつける。いま,sを固定して,P(s)における接線の向きからPの近くの点P(s+⊿s)における接線の向きまでの回転角を⊿θ(ラジアン)とし,比⊿θ/⊿sを考える(図1)。⊿sを0に近づけたときのこの比の極限をPにおけるCの曲率という。これをkで表すとき,ρ=1/|k|を曲率半径という。kの正負に応じて,sが増すときPの近くでCは左または右に曲がり,その曲がり方はρが大きいほどゆるやかである(図2)。Pとこれに近いC上の2点Q,Rを通る円の,Q,RをCに沿ってPに近づけたときの極限の円をPにおけるCの接触円osculating circleという。これはPにおけるCの接線にPで接し,その接線に関してCと同じ側にあり,ρを半径とする円である(図2)。このようなわけで,接触円をまた曲率円と呼び,その中心を曲率中心center of curvatureという。空間内にある曲線に対しても,曲率が同様に定義される。ただし,空間においては2直線の向きの間の回転角に符号がつけられないので,曲率の定義における⊿θはP(s)とP(s+⊿s)における接線のなす角に⊿sと同じ符号をつけたものとする。したがって空間曲線ではk≧0となる。接触円の定義は空間曲線に対しても意味をもち,その半径は曲率の逆数となる。次に,曲面の場合を考えよう。図3においてSを曲面とし,Pをその上の1点とする。PにおけるSの法線(PにおいてSに垂直に交わる直線)を含むすべての平面を考え,これらの平面によるSの切口である曲線の曲率(≧0)に,法線のある向きに関して曲線が凹であるか凸であるかに応じて正負の符号をつける。これらの最大値および最小値をPにおけるSの主曲率といい,これらの相加平均を平均曲率,これらの積をガウス曲率または全曲率という。全曲率が正ならば,Pの近くの点は接平面の片側にあり,全曲率が負ならばPの近くで曲面は馬の鞍(くら)の形をしている。曲面上のすべての点において全曲率が0のとき,この曲面は平面上に伸縮なしにひろげることができる。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
曲線の曲がっている度合いを表す数。曲線上の隣接3点を通る円の半径、すなわち曲率半径の逆数として定められる。直線は曲率ゼロであり、曲線は曲率が大きいほど曲がり方が大きい。
平面上の曲線y=f(x)に対して、f(x)が2回微分可能であるとするとき、この曲線上の点P0(x0,y0)と曲線上の隣接する2点を通る円(曲線上にP0と異なる点P1、P2をとり、P0、P1、P2を通る円をつくって、P1、P2をP0に近づけたときの極限の円)をP0における曲率円という。その半径の逆数が曲率で、それは、
となる。この値はy″の正負によって正、または負となるが、曲率が正とはxが増加するとき曲線が左側(すなわち正の方向)に曲がっていくこと、負とは右側に曲がっていくことを意味する。
曲率は、また、P0とその近くの点Pとにおける接線のなす角をθ、P0とPの間の曲線の弧の長さをΔsとして、
という式で与えることもできる。曲率は曲線の形状を特徴づける数である。空間曲線や、曲面の曲率も定義される。さらにリーマン幾何学においては空間の曲率も定義される。
[竹之内脩]
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