アキニレ(読み)あきにれ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキニレ」の意味・わかりやすい解説

アキニレ
あきにれ / 秋楡
[学] Ulmus parvifolia Jacq.

ニレ科(APG分類:ニレ科)の落葉亜高木。高さ10~15メートル、直径30~40センチメートル。樹皮は灰褐色で、小さく鱗(うろこ)状にはげる。小枝は多く、水平に生える。葉は互生し、倒卵形ないし長楕円(ちょうだえん)形、先は鋭頭からやや鈍頭、長さ2~5センチメートル、幅1~2センチメートル。基部はゆがんで左右非対称となり、辺縁には鈍い鋸歯(きょし)がある。花は両性、淡黄色で、当年枝の葉腋(ようえき)につき、9月に開く。花被(かひ)は4裂し、雄しべ4本、雌しべは1本で花柱は2裂する。翼果は楕円形、翼状脈が著しく、長さ約1センチメートル、花期後1か月で淡緑色ないし褐色に熟す。山地川岸に生え、街路樹、盆栽として利用するほか、刳物(くりもの)など什器(じゅうき)類としてケヤキの代用品にも使われる。秋に開花するのでアキニレという。ウマノホネギの方言名があるが、語意は不明。本州の中部地方以西、四国、九州、朝鮮、中国に分布する。

[伊藤浩司 2019年11月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アキニレ」の意味・わかりやすい解説

アキニレ(秋楡)
アキニレ
Ulmus parvifolia

ニレ科の落葉高木で,東アジア暖温帯に生じ,日本では本州中部以西の暖地にみられる。高さ5~10mほどでよく分枝し,長さ2~5cmの小型の倒卵形をした葉を互生する。ニレ科の特徴として葉の左右は対称形でなく,ゆがんでいる。花は葉腋から束状につき,秋,9月頃に咲く。東日本に生じるハルニレが大型の葉をもち,花が春に咲くのと対照的である。 (→ニレ〈楡〉 )

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