アキー(読み)あきー(その他表記)akee

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキー」の意味・わかりやすい解説

アキー
あきー
akee
[学] Blighia sapida Koenig

ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)の常緑樹で、アフリカ原産の直立性高木。染色体数は2n=32である。葉は偶数羽状複葉で、3~4対、小葉は倒卵状長楕円(ちょうだえん)形で無毛、長さ十数センチメートル、全縁で先は尖(とが)り、基部はくさび形。花は白緑色で、長さ7~10センチメートルの総状花序につく。果実は3室からなる蒴果(さくか)で、長さ6センチメートル、幅4センチメートルの卵状。桃赤色に熟し、3裂開し、各室に1粒ずつ、基部に白色仮種皮をもった長楕円形の種子を現す。仮種皮は生食油炒(いた)めにする。未熟果は有毒である。また、街路樹によく、花からは香水をとる。西インドに多い。ジャマイカではよく食べられている。

[飯塚宗夫 2020年9月17日]

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百科事典マイペディア 「アキー」の意味・わかりやすい解説

アキー

ムクロジ科の高木。西アフリカ原産で,高さ40mに達する。西インド諸島ブラジルでは,果実を食用とするために栽培される。果実は鶏卵大で深紅色果肉を生食するが,魚料理に用いると美味という。ただし未熟果実や果皮は有毒。

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栄養・生化学辞典 「アキー」の解説

アキー

 カリブ地方の木になる果実で,未熟のものはヒポグリシン(hypoglycin)を含み有毒.

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世界大百科事典(旧版)内のアキーの言及

【ムクロジ】より

…カエデ科,トチノキ科などと近縁で,これらとともにムクロジ目Sapindalesを形成する。中国南部のレイシおよびリュウガン,東南アジアのランブータン,西アフリカのアキーa kee Blighia sapida Koenigなどは,種子のまわりの肉質の仮種皮が食べられるので,熱帯~亜熱帯で広く栽培される。木材が有用なものはこの科には少ないが,東南アジアからポリネシアに広く分布するPometia pinnata Forst.の材は最近おもにニューギニア地域からかなり多く日本に輸入され,マトアmatoaまたはタウンtaunの名で知られる。…

※「アキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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