日本大百科全書(ニッポニカ) 「アシュケナージ」の意味・わかりやすい解説
アシュケナージ
あしゅけなーじ
Vladimir Ashkenazy
(1937― )
旧ソ連出身のピアノ奏者・指揮者。ゴーリキー(ニジニー・ノブゴロド)生まれ。現在はアイスランド国籍で、1963年以来ロンドンを本拠として活躍している。モスクワ音楽院でオボーリンに学ぶ。1955年ショパン国際ピアノ・コンクールで第2位になったのを手始めに、1956年のエリザベート、1962年のチャイコフスキー各国際コンクールに優勝。正確な技巧と柔軟な感性を武器に、バッハからプロコフィエフに及ぶ広いレパートリーをもち、第二次世界大戦後に登場したピアニストを代表する一人。一方、1977年にロンドンで指揮者としてデビューして以来、1982~1983年同地のフィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者、1987~1994年同地のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、1989年からベルリン放送交響楽団の音楽監督を務め、指揮者としても名を高めた。1998年チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任(2003年まで)。2004年(平成16)9月には、NHK交響楽団の第2代音楽監督に就任(2007年まで)。2009年からシドニー交響楽団の首席指揮者及び芸術顧問に就任した(2013年まで)。初来日は1965年(昭和40)で、わが国にも多くのファンをもつ。
[岩井宏之]
『ジャスパー・パロット著、奥田恵二・奥田宏子訳『アシュケナージ――自由への旅』(1985・音楽之友社)』▽『『ONTOMO CD BOOKS アーティスト・シリーズ7 ウラディーミル・アシュケナージ』(1991・音楽之友社)』▽『青沢唯夫著『名ピアニストの世界』(1991・春秋社)』▽『読売新聞社編・刊『ザ・ピアノ&ピアニスト――面白くなってきたピアノへの賛歌』(1992)』▽『佐藤泰一著『ロシア・ピアニズムの系譜――ルービンシュタインからキーシンまで』(1992・音楽之友社)』▽『デイヴィッド・デュバル著、横山一雄訳『ピアニストとのひととき 上巻』(1992・ムジカノーヴァ)』▽『木之下晃著『音楽家のオフステージ』(1996・東京書籍)』▽『吉田秀和著『吉田秀和作曲家論集3 ショパン』(2001・音楽之友社)』▽『吉田秀和著『吉田秀和全集14・19・20』(2002・白水社)』▽『吉田秀和著『この一枚』(新潮文庫)』