アダンドラアル(英語表記)Adam de la Halle

デジタル大辞泉 「アダンドラアル」の意味・読み・例文・類語

アダン‐ド‐ラ‐アル(Adam de la Halle)

[1235ころ~1285ころ]中世フランス吟遊詩人劇作家戯曲葉陰の劇」「ロバンとマリオンの劇」など。

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精選版 日本国語大辞典 「アダンドラアル」の意味・読み・例文・類語

アダン‐ド‐ラ‐アル

  1. ( Adam de la Halle ) 中世フランスの吟遊詩人。作品は牧歌的な喜歌劇ロバンマリオンの戯れ」など。(一二三七頃━八六頃

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改訂新版 世界大百科事典 「アダンドラアル」の意味・わかりやすい解説

アダン・ド・ラ・アル
Adam de la Halle
生没年:1235ころ-88ころ

フランスのトルベール(吟遊詩人)。1306年以後まで存命とする説もある。当時パリに比肩するほどの文化水準を誇っていた北フランスの商工業都市アラスの市民階級の出身。アダン・ル・ボッシュAdam le Bossu(せむしのアダン)とも呼ばれたが,これは別に身体障害を示すものではない。作詩・作曲ばかりでなく,劇作者としても演劇史上大きな足跡を残した。代表作としては,アラスを舞台とし,風刺劇と夢幻劇の両面を備えた《葉陰の劇》,シチリア遠征アルトア伯陣中で作ったと思われる牧歌風音楽劇《ロバンとマリオンの劇》があり,ともに中世喜劇の傑作とされる。また,数多くのシャンソン,ジュー・パルチ,ロンドーなどの抒情詩および楽曲の作者として知られ,その《惜別の賦》も有名。ほかに,未完の叙事詩1編がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アダンドラアル」の意味・わかりやすい解説

アダン・ド・ラ・アル
Adam de la Halle

[生]1250頃.アラス
[没]1306頃.イタリア
フランスの吟遊詩人,劇作家。「せむしのアダン」 Adam le Bossuのあだ名をもつ。パリで勉学,のち劇作により北フランスの生れ故郷の町アラスの名を高めた。 C.ダンジューに従ってイタリアにおもむき,そこで没す。代表作『葉蔭の劇』 Jeu de la Feuillée (1276頃) は作者自身とアラスの近親ら実在人物を登場させ滑稽な言動を風刺し,15世紀のソティ (阿呆劇) の先駆となる作品。また『ロバンとマリオン』 Jeu de Robin et Marion (85頃) は騎士と牧人の男女が織りなす田園抒情詩が主題で,世俗音楽を最初に使用したオペラ・コミックの始りといえる牧歌劇

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百科事典マイペディア 「アダンドラアル」の意味・わかりやすい解説

アダン・ド・ラ・アル

フランスのトルベール(吟遊詩人)。初めアルトア伯ロベール2世に,のちシチリア王アンジュー伯に仕えた。牧歌風の《ロバンとマリオンの劇》(1285年ころ)は現存する世俗音楽劇の最古のものとして知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のアダンドラアルの言及

【フランス音楽】より

…後者は13世紀になると北のトルベールによるオイル語の歌にとってかわられる。以上は騎士階級の単旋律の歌であるが,13世紀末には市民も交って作詩作曲するようになり,その代表が音楽劇《ロバンとマリオンの劇》をつくったアダン・ド・ラ・アルAdam de la Halle(1237ころ‐87?)である。また彼らの介添役も務めた旅芸人ジョングルールたちの存在を忘れるわけにはいかない。…

【フランス音楽】より

…後者は13世紀になると北のトルベールによるオイル語の歌にとってかわられる。以上は騎士階級の単旋律の歌であるが,13世紀末には市民も交って作詩作曲するようになり,その代表が音楽劇《ロバンとマリオンの劇》をつくったアダン・ド・ラ・アルAdam de la Halle(1237ころ‐87?)である。また彼らの介添役も務めた旅芸人ジョングルールたちの存在を忘れるわけにはいかない。…

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