トルベール(英語表記)trouvères

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルベール」の意味・わかりやすい解説

トルベール
trouvères

北フランスのオイル語による吟遊詩人総称。南フランスのトルバドゥールが歌った宮廷風恋愛のテーマが 1160年頃北フランスに移入され,宮廷風の精神に目ざめ,恋愛心理に興味を示しはじめた貴族階級が吟遊詩人を歓迎したところから流行した。 70年頃のクレチアン・ド・トロアをはじめとし,1200年頃にはシャンパーニュ,アルトア地方からほとんどすべての地方に及び,アダン・ド・ラ・アルチボー・ド・シャンパーニュなど数多くの詩人を輩出,貴族から庶民階級へもこの趣向が浸透していった。特にリュトブフが有名。 70年頃この文学趣味が衰えるとともに,トルベールも姿を消した。

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