日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンドー」の意味・わかりやすい解説
ロンドー
ろんどー
rondeau
元来輪になって踊った舞踏に添えて歌われたロンデ・ド・カロールrondet de caroleに発し、13~15世紀に流行し、19世紀まで続いた詩形式である。語源はrotundus(ラテン語)にさかのぼり、rond(丸い)>rondel>rondeauと変わった。ロンデ・ド・カロールの形式
(大文字は繰返句(ルフラン)、小文字は同一脚韻を示す)にさらに繰返句ABを詩の冒頭に置けばロンドーの古典的な形式トリオレtrioletが得られた。
歌唱ではa=独唱、A=合唱、ab=独唱、AB=合唱となっていた。最古の例は13世紀初頭のジャン・ルナールJean Renartの物語『ばら物語 別名ギヨーム・ド・ドル』Roman de la Rose ou Guillaume de Dole(1228?)に挿入された詩にみられる。その後、詩人、音楽家のマショーGuillaume de Machaut(1300ころ―77)、デシャンらによって完成され、ロンドー・ドゥーブレrondeau doublé、ロンドー・ルドゥーブレrondeau redoubléなどの変種を生む。主題は初期の民謡風から宮廷風恋愛、宗教的主題に及び、狭い世界ながら機知とコケットリーを得意とした。楽曲のロンド形式とは無関係である。
[神澤榮三]