アブチロン(読み)あぶちろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブチロン」の意味・わかりやすい解説

アブチロン
あぶちろん
[学] Abutilon

アオイ科(APG分類:アオイ科)の低木または草本。熱帯から温帯にかけて分布し、100種以上ある。花は葉腋(ようえき)に単生し、下垂する。花弁は5枚で鐘状になる。雄しべは多数が合着して筒状になり雌しべを包む。数品種の雑種A. hybridum Hort.が鉢栽培される。葉に白または黄斑(きふ)の入る品種もある。キフアブチロンA. pictum Walp. cv. Variegataは掌状葉に黄斑が入り、花は橙黄(とうこう)色に暗赤色の網目が入る。ウキツリボクA. megapotamicum St.Hil. et Naud.はブラジル南部原産であるが、耐寒性が強い。花は長さ4~5センチメートル、黄色の花弁と赤色の萼(がく)が美しい。葉に黄斑の入る園芸品種がある。茎は細く下垂する。繁殖はすべて挿木による。なお、繊維作物のイチビも同じ仲間である。

[高林成年 2020年4月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブチロン」の意味・わかりやすい解説

アブチロン
Abutilon; flowering maple; Indian mallow; parlor maple

アオイ科アブチロン属の総称。低木あるいは草本で,世界の熱帯および亜熱帯に約 100種が分布する。園芸的に利用されるのは,中央・南アメリカの原産種が多い。葉は心臓形のほか,掌状に深く切れ込むものなどがある。花弁は5枚。花は鐘形でやや下垂する。花色は赤,桃,橙,黄,白など。ウキツリボク A.megapotamicumのほか,交雑種のアブチロン・ヒブリドゥム A.hybridumがおもに鉢栽培される。多くの園芸品種があり,葉に白や黄の斑 (ふ) 入りも人気がある。春から秋は戸外開花。冬は明るい室内または温室内で,なるべく 10℃以上に保って越冬させる。種類によっては,関東地方の平野部程度の気候であれば,戸外のひなたで越冬する。 20℃以上の気温であれば挿木も容易にできる。

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