日本大百科全書(ニッポニカ) 「アムステルダム条約」の意味・わかりやすい解説
アムステルダム条約
あむすてるだむじょうやく
Treaty of Amsterdam
1999年5月1日に発効したEU(ヨーロッパ連合)の新しい憲法。通貨統合を定めたマーストリヒト条約(1993年発効)の改定版で、すでに実現した通貨統合に続く目標として、共通外交・安全保障政策の実現を打ち出しているのが最大の特徴である。とくに、(1)これまでは理事会の全会一致が原則となっていた共通外交・安保政策の意思決定について、賛成国だけが実施義務を負い、棄権国は義務を免除される「建設的棄権制」を導入したことで、棄権国を除いて共通政策を展開できるようになった、(2)特定分野で加盟国の過半数が参加し、統合を強化できる多段階統合制を導入する、などが主な改正点である。
[長澤孝昭]