アムステルダム条約(読み)あむすてるだむじょうやく(英語表記)Treaty of Amsterdam

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アムステルダム条約」の意味・わかりやすい解説

アムステルダム条約
あむすてるだむじょうやく
Treaty of Amsterdam

1999年5月1日に発効したEUヨーロッパ連合)の新しい憲法。通貨統合を定めたマーストリヒト条約(1993年発効)の改定版で、すでに実現した通貨統合に続く目標として、共通外交・安全保障政策の実現を打ち出しているのが最大の特徴である。とくに、(1)これまでは理事会の全会一致が原則となっていた共通外交・安保政策の意思決定について、賛成国だけが実施義務を負い、棄権国は義務を免除される「建設的棄権制」を導入したことで、棄権国を除いて共通政策を展開できるようになった、(2)特定分野で加盟国の過半数が参加し、統合を強化できる多段階統合制を導入する、などが主な改正点である。

[長澤孝昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アムステルダム条約」の意味・わかりやすい解説

アムステルダム条約
アムステルダムじょうやく
Amsterdam Treaty

1997年6月,オランダアムステルダムで開かれたヨーロッパ連合 EU首脳会議で採択された,EUに関する新しい条約。新ヨーロッパ連合条約ともいう。 10月2日に調印され,加盟 15ヵ国の批准をもって発効する。 EUの設立を決めたマーストリヒト条約に基づき,政治統合の一層の推進をはかるために 1996年3月から政府間協議が開始され,その結果,アムステルダム条約が調印された。加盟国間の統合への対応が異なることを受け,これまでの外交・安全保障政策での全会一致方式に代え,加盟国の「建設的棄権」を認めて多数決による行動決定ができることとし,また加盟国の過半数だけが他の加盟国にさきがけて特定の分野で統合を進めることのできる「多段階統合」の考えを導入した。このほか,東欧圏の新規加入など EU拡大を前提とした機構改革の方針,EU圏内の移動の自由,雇用を最優先課題とすることなどが決められた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android