アラクネ(読み)あらくね(英語表記)Arachnē

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラクネ」の意味・わかりやすい解説

アラクネ
あらくね
Arachnē

ギリシア神話の女性で織物名手染物の町リディアの、コロフォンの染めの名手イドモンの娘。織物に優れたアラクネは、織物の女神アテネとその技を競った。その試合で、女神はオリンポスの十二神と、神々に懲らしめられた人間たちの話を織り、一方アラクネは、神々の恋物語を織り上げた。アラクネの作品は完璧(かんぺき)であったが、彼女が織物の技術ではアテネをしのぐと自慢したために、アテネは怒ってアラクネの作品を引き裂き、彼女を打ち据えた。彼女は恐怖と悲しみのあまり自殺を図ったが、女神はそれを許さず、彼女をクモに変えた。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラクネ」の意味・わかりやすい解説

アラクネ
Arachne

ギリシア神話の人物小アジアリュディアのコロフォンに住むイドモンの娘で,機織りの名手であったが,慢心してアテナ腕比べを挑み,女神の面前で,神々が人間の女たちと愛欲にふける情景をみごとに織り上げてみせた。怒ったアテナは彼女を手に持った火で打ちすえ,アラクネは首を吊って自殺したが,憐れをもよおしたアテナは,彼女をギリシア語でアラクネと呼ばれるくもに変えてやったという。

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