日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラビー」の意味・わかりやすい解説
アラビー
あらびー
Buzurg ‘Alavī
(1907―1997)
イランの小説家。商人の家に生まれ、1922年ドイツに留学。帰国後、左翼運動を行ったため、1937年に同志52人とともに逮捕、投獄され1941年まで獄中にいた。第二次世界大戦後旧東ドイツに移り、フンボルト大学の教授を務めた。1934年に短編集『トランク』を発表して文壇に現れ、短編集『牢獄(ろうごく)の紙きれ』(1941)、獄中記『五十三人』(1942)、長編小説『彼女の眼(め)』(1952)を発表して現代一流の作家となった。信念の作家として知られ、西欧の技法を取り入れ、社会の底辺をよく主題とし、その作品には政治的左翼思想が強く反映している。王制時代には作品はほとんど発禁であったが、イラン・イスラム革命後の1979年に解禁された。
[黒柳恒男]