日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルプス・ヒマラヤ山系」の意味・わかりやすい解説
アルプス・ヒマラヤ山系
あるぷすひまらやさんけい
アルプス造山運動によって形成された若い険しい山系群からなる大造山帯。アフリカ北西部のアトラス山脈からヨーロッパのシエラネバダ、ピレネー、アルプス、アペニン、カルパティアなどの山脈、アジアのヒンドゥー・クシ、パミール(高原)、カラコルム、ヒマラヤなどの山脈に続き、南に折れてミャンマー(ビルマ)からアンダマン諸島、インドネシアのスマトラ島、ジャワ島に至る長大な山系で、環太平洋造山帯による山系とともに世界の二大山系である。世界の高山の大半を占め、複雑な構造をもつ褶曲(しゅうきょく)山脈や断層山脈が多い。
ヨーロッパのアルプス山脈からヒマラヤを経て東方まで続く地域には、古生代から中生代にかけてテチス海(古地中海)が存在した。これは、北側のローラシア大陸(現在の北アメリカ、ユーラシア大陸)と南側のゴンドワナ大陸(現在の南アメリカ、アフリカ大陸、インド大陸など)の間に広がっていたもので、パンゲアの内部に広がった大きな湾入であった。古第三紀には、両大陸の衝突によりテチス海が閉塞(へいそく)し、アルプス・ヒマラヤ造山帯が形成された。とくにヒマラヤ山脈は、北側のローラシア大陸の一部であるユーラシア大陸に、南側のゴンドワナ大陸から分裂したインド大陸が衝突して形成されたもので、現在でもインド大陸はヒマラヤ山脈の下に沈み込んでいる。
[市川正巳・村田明広]