アンジオテンシン変換酵素阻害剤(読み)アンジオテンシンヘンカンコウソソガイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

アンジオテンシン変換酵素阻害剤

製品名
《アラセプリル製剤》
アラセプリル(沢井製薬、長生堂製薬、日新製薬、日医工、日本ジェネリック)
セタプリル(大日本住友製薬)
《イミダプリル塩酸塩製剤》
イミダプリル塩酸塩(大原薬品工業、杏林製薬、キョーリンリメディオ、沢井製薬、第一三共エスファ、第一三共、武田テバ薬品、武田テバファーマ、武田薬品工業、辰巳化学、東和薬品、日医工、日医工ファーマ、ニプロ、日本ケミファ、日本ジェネリック、ファイザー、富士フイルムファーマ、メディサ新薬、陽進堂)
タナトリル(田辺三菱製薬)
《エナラプリルマレイン酸塩製剤》
エナラート(共和薬品工業)
エナラプリル(小林化工、Meiji Seika ファルマ)
エナラプリルM(エルメッド、エーザイ、サンノーバ)
エナラプリルマレイン酸塩(アルフレッサファーマ、大原薬品工業、興和創薬、興和、沢井製薬、第一三共エスファ、第一三共、ダイト、武田テバファーマ、武田薬品工業、辰巳化学、長生堂製薬、東和薬品、日本ジェネリック、日新製薬、日本ケミファ、日医工、日医工ファーマ、日本薬品工業、ファイザー、扶桑薬品工業、メディサ新薬)
セリース(サンド)
ファルプリル(キョーリンリメディオ、杏林製薬、富士フイルムファーマ)
レニベース(MSD)
《カプトプリル製剤》
カプトプリル(沢井製薬、長生堂製薬、日医工、日本ジェネリック)
カプトリル(第一三共エスファ)
カプトリル‐R(第一三共エスファ、第一三共)
カプトルナ(小林化工、ファイザー、第一三共)
《キナプリル塩酸塩製剤》
コナン(田辺三菱製薬)
《シラザプリル水和物製剤》
インヒベース(中外製薬)
シラザプリル(沢井製薬、東和薬品)
《テモカプリル塩酸塩製剤》
エースコール(第一三共)
テモカプリル塩酸塩(寿製薬、沢井製薬、ダイト、高田製薬、東和薬品、日医工、ニプロ、ニプロESファーマ、日本ジェネリック、陽進堂)
《デラプリル塩酸塩製剤》
アデカット(武田テバ薬品武田薬品工業)
《トランドラプリル製剤》
オドリック(日本新薬)
トランドラプリル(大原薬品工業、沢井製薬、東和薬品)
《ベナゼプリル塩酸塩製剤》
チバセン(サンファーマ、田辺三菱製薬)
ベナゼプリル塩酸塩(沢井製薬、辰巳化学)
《ペリンドプリルエルブミン製剤》
コバシル(協和キリン)
ペリンドプリル(日医工)
ペリンドプリルエルブミン(沢井製薬、東和薬品、日本ジェネリック)
《リシノプリル水和物製剤》
ゼストリル(アストラゼネカ)
リシノプリル(大原薬品工業、沢井製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日医工、ファイザー、マイラン製薬)
ロンゲス(共和薬品工業)

 アンジオテンシンは生理的昇圧物質で、全身の末梢動脈を収縮させて血圧を上げるほか、ナトリウムを体内に蓄積させ、昇圧ホルモンを副腎ふくじんから分泌させるはたらきがあります。


 アンジオテンシン変換酵素ACE)阻害剤は、アンジオテンシンがつくられるのを防ぐ作用がある薬です。血圧を下げる効果は強力で、従来の降圧剤で効果のなかった高血圧症に効くといわれています。ほかの降圧剤と併用すると、いっそう効果が上がります。


 本態性高血圧症腎性じんせい高血圧症(腎実質性・腎血管性)悪性高血圧症腎血管性高血圧症の治療に使われます。


 カプトプリル製剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤のもっとも代表的な薬で、末梢血管を拡張する作用、ナトリウムを排泄はいせつする作用によって血圧を下げます。副作用の神経症状(ふらつきなど)がおこりにくく、体内の糖や脂肪に対する影響が少ない薬です。


 アラセプリル製剤は、カプトプリル製剤の効果に持続性をもたせた薬で、安定した降圧効果があります。


 イミダプリル塩酸塩製剤テモカプリル塩酸塩製剤ベナゼプリル塩酸塩製剤シラザプリル水和物製剤トランドラプリル製剤ペリンドプリルエルブミン製剤リシノプリル水和物製剤は、すみやかに吸収されて効果が長時間続くため、1日1回の内服で良好な血圧コントロールが得られます。


 イミダプリル塩酸塩製剤は、糖尿病性腎症の治療にも用いられます。


 また、リシノプリル水和物製剤は、6歳以上の小児の高血圧治療や、軽症から中等症の慢性心不全の治療にも用いられます。


 キナプリル塩酸塩製剤は、動脈や心筋組織などのアンジオテンシン変換酵素のはたらきを持続的かつ強力に阻害するので、心肥大の退縮や動脈肥厚の減少にも効果があります。


 エナラプリルマレイン酸塩製剤は、生後1か月以上の小児の高血圧治療に用いられます。


①過敏症状(発熱・発疹ほっしんなどのアレルギー症状)、無顆粒球症、高カリウム血症、顔面などの血管浮腫ふしゅなどが現れることがあります。


 そのほかに、アラセプリル製剤では、無顆粒球症や天疱瘡様てんぽうそう症状、キナプリル塩酸塩製剤シラザプリル水和物製剤急性腎障害膵炎すいえんが、デラプリル塩酸塩製剤ペリンドプリルエルブミン製剤で急性腎障害が現れることがあります。


 また、カプトプリル製剤では、汎血球減少、無顆粒球症、急性腎障害、ネフローゼ症候群、天疱瘡様症状、狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、心停止、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎、錯乱、膵炎が現れることがあります。


 エナラプリルマレイン酸塩製剤では、汎血球減少、無顆粒球症、天疱瘡様症状、狭心症、心筋梗塞、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎、錯乱、膵炎、ショック、肝障害、肝不全、血小板減少、間質性肺炎、中毒性表皮壊死融解症、バゾプレシン分泌過剰症が現れることがあります。


 リシノプリル水和物製剤では、急性腎障害、膵炎、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、天疱瘡様症状、溶血性貧血血小板減少症、肝障害、黄疸おうだん、バゾプレシン分泌過剰症が現れることがあります。


 ベナゼプリル塩酸塩製剤では、急性腎障害、肝炎、肝障害、黄疸、無顆粒球症、好中球減少、膵炎が現れることがあります。


 イミダプリル塩酸塩製剤では、血小板減少、急性腎障害、腎障害の悪化、紅皮症、皮膚粘膜眼症候群、天疱瘡様症状が現れることがあります。


 テモカプリル塩酸塩製剤では、肝障害、黄疸、血小板減少、天疱瘡様症状が現れることがあります。


 トランドラプリル製剤では、膵炎、腎障害の悪化、横紋筋融解症、肝機能障害、黄疸が現れることがあります。


 このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②薬によっては、かゆみ・胃腸障害(食欲不振・吐き気嘔吐おうとなど)・肝障害・起立性低血圧・頭痛めまい・ねむけ・動悸どうき・口の渇き・倦怠感けんたいかん・発熱・味覚障害・せき、総コレステロール・尿酸値の上昇、疲労、胸痛、口内異物感、味覚異常、ほてり、肩こり、発赤などがおこることがあります。このような症状がおこったときは、必ず医師に相談してください。


①錠剤、細粒、カプセル剤で、食後の服用が原則です。1日の服用回数と服用する時間・1回の使用量については医師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


 服用するときは、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。


②効果が変わるので、んだり、つぶしたりしないでください。


③問診の際に、持病・アレルギーなどの体質や現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。とくに、過去にこの薬を使用して過敏症状、血管浮腫の病歴がある人、デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニールアルコールまたはポリエチレンテレフタレートなどの吸着器を用いたアフェレーシス(血液浄化)やアクリロニトサルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析を行っている人、糖尿病でアリスキレンフマル酸塩を使用中の人は使用できません。


④妊婦・妊娠している可能性のある人は使用できません。また、母乳で授乳中の人は使えないことがあるので、必ず医師に報告してください。


⑤小児が使用する場合は、医師の指示をより厳重に守ってください。


⑥使用中に、めまいやふらつきがおこることがあります。自動車の運転、高所での作業などにたずさわる人は、医師に相談してください。


⑦減塩、カロリー制限などを指示された食事療法は、必ず守ってください。


⑧この薬を使用中にほかの薬を使用する必要が生じたときは必ず医師に相談してください。とくに、他の降圧剤、アロプリノール系製剤炭酸リチウム製剤亜硝酸剤の貼付剤非ステロイド抗炎症剤、カリジノゲナーゼ製剤などとの併用は注意してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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