改訂新版 世界大百科事典 「イシムカデ」の意味・わかりやすい解説
イシムカデ
long-legged centipede
唇脚綱(ムカデ綱)イシムカデ目Lithobiomorphaに属する節足動物の総称。ムカデ類としては小型で体長4~30mm。やや扁平で成体は15対の歩肢がある。体色は褐色から橙色で地表生のものほど色が濃い。石下,落葉の中,土壌中などにたくさんすむが,石の下に集まることが多いところからこの名がある。人間をかむようなことはない。全世界に広く分布している。産卵シーズンは春から夏の間で,個々の卵を泥で包んで地中に放置する。孵化(ふか)した幼虫は7対の歩肢があり脱皮するごとに胴節と歩肢を増加し,3年目の春に成熟し産卵する。歩肢はとれやすく,敵に襲われると自切するが脱皮によって再生する。生きた小さな昆虫を捕食する。日本産は約40種があり,代表的な種類にイッスンムカデ,モモブトイシムカデ,ゲジムカデなどがあり全国いたるところに分布している。
執筆者:篠原 圭三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報