イソフタル酸(読み)いそふたるさん(その他表記)isophthalic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イソフタル酸」の意味・わかりやすい解説

イソフタル酸
いそふたるさん
isophthalic acid

芳香族ジカルボン酸の一種。m(メタ)-ベンゼンジカルボン酸ともいう。m-キシレンを酸化すると生成する。

 無色結晶酢酸アセトンエタノールエチルアルコール)などに溶けるが、炭化水素溶媒にはほとんど溶けない。酸性を示し、種々の金属と塩をつくるほか、硫酸の存在下で種々のアルコールと反応してジエステルを生成する。ポリエステルの改質材、耐熱性高分子の原料として用いられる。

[廣田 穰]


イソフタル酸(データノート)
いそふたるさんでーたのーと

イソフタル酸

 分子式 C8H6O4
 分子量 166.1
 融点  348.5℃
 沸点  (昇華

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「イソフタル酸」の解説

イソフタル酸
イソフタルサン
isophthalic acid

1,3-benzenedicarboxylic acid.C8H6O4(166.13).m-キシレンの気相酸化によって製造される.白色の結晶.融点350 ℃(封管中).325 ℃ 以上で昇華する.熱水,エタノール,酢酸などに可溶,ベンゼンに不溶.ポリエステルあるいはポリアミド樹脂の原料として,また高級アルコールのエステルとして可塑剤をつくる.[CAS 121-91-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イソフタル酸」の意味・わかりやすい解説

イソフタル酸
イソフタルさん
isophthalic acid

フタル酸のメタ異性体。ベンゼン-1,3-ジカルボン酸ともいう。無色の針状晶で,融点 345~348℃。石油化学において混合キシレンの酸化により大量に生産される。可塑剤や合成樹脂 (アルキド樹脂,ポリエステル,ポリアミド) の原料として使われる。

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改訂新版 世界大百科事典 「イソフタル酸」の意味・わかりやすい解説

イソフタル酸 (イソフタルさん)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイソフタル酸の言及

【フタル酸】より

ベンゼン環に2個のカルボキシル基をもつ芳香族ジカルボン酸で,o‐,m‐,p‐の3種の異性体がある。通常フタル酸といえばo‐体をさし,m‐体はイソフタル酸isophthalic acid,p‐体はテレフタル酸terephthalic acidと呼ばれる。
[フタル酸]
 融点191℃(封管中)の無色の結晶で,融点付近で脱水されて無水フタル酸を生じる。…

※「イソフタル酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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