精選版 日本国語大辞典 「流離」の意味・読み・例文・類語
さすら・う さすらふ【流離】
[1] 〘自ワ五(ハ四)〙 (中世には「さずらふ」とも)
※延喜式(927)祝詞「根の国、底の国に坐す速さすらひめといふ神、持佐須良比(サスラヒ)失ひてむ」
※歌舞伎・傾城飛馬始(1789)三段「足なへの御病にて、天の岩舟にて、漂泊(サスラ)ひ給へど」
※いろは字(1559)「謫 サズラフ 謫居(タクキョ)也」
③ 気持などが離れる。また、気持などが定まらない。
※大唐西域記長寛元年点(1163)七「上下の心を離(サスラフ)賤妾愚忠なりとも能く強敵を敗(やぶ)らむ」
[2] 〘自ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① (一)①に同じ。
※玉葉(1312)雑五・二五一九「頼み来(こ)し我が心にも捨てられて世にさすらふる身を厭ふかな〈藤原家隆〉」
② (一)②に同じ。
さすらい さすらひ【流離】
① さすらうこと。あてどなくさまようこと。漂泊。流浪。さすらえ。
② 島流し、左遷などによって都から遠く離れた土地に行くこと。さすらえ。
※俳諧・へらず口(不角撰)(1694)「左遷(さすらひ)の身は衣さへ返し染」
さそら・う さそらふ【流離】
(「さすらう(流離)」の変化した語)
[1] 〘自ハ四〙 あちこちさまよい歩く。漂泊する。さすらう。
※石山寺本大唐西域記院政期点(1164‐90頃)八「一の書先有り。俳佪(サソラフ)こと帳望す」
[2] 〘自ハ下二〙 (一)に同じ。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「よにいふ甲斐なくなり、さそらへん時にを」
さすらえ さすらへ【流離】
〘名〙 (下二段活用動詞「さすらう(流離)」の連用形の名詞化)
① =さすらい(流離)①
② =さすらい(流離)②〔至宝抄(1585)〕
※俳諧・類船集(1676)留「在原中将東へくだり光君須磨にうつられしもさすらへの心か」
りゅう‐り リウ‥【流離】
〘名〙 故郷を離れて遠くさすらうこと。居所を失ってあちこちさまようこと。流浪。
※続日本紀‐養老六年(722)閏四月乙丑「廼者。辺郡人民。暴被二寇賊一。遂適二東西一。流離分散」
※遊楽習道風見(1423‐28頃)「りうりの子のひなにてうつくしからんがごとし」 〔詩経‐邶風・旄丘〕
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