日本大百科全書(ニッポニカ) 「イリゴージェン」の意味・わかりやすい解説
イリゴージェン
いりごーじぇん
Hipólito Yrigoyen
(1852―1933)
アルゼンチンの政治家、大統領(在任1916~22、1928~30)。バスク系移民の長男としてブエノス・アイレス市に生まれ、教員生活を経て政治の世界に身を投じた。1891年急進党の結成に参加し96年以来党の最高指導者の地位にあった。行政府の干渉を排した選挙制度の実現を求めて執拗(しつよう)な闘争を続け、1912年選挙法の改正を実現させた。16年大統領に選出され、年金制度の拡充や大学改革、国家石油公社(YPF)の設立など、民主的、民族主義的施策で大衆の支持を得た。憲法の連続再選禁止の規定に従って22年大統領職を辞し、28年再選されたが世界恐慌に伴う経済・社会危機を収拾しえず、30年9月6日、軍のクーデターにあって失脚した。
[松下 洋]