四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「インフルエンザ検査」の解説
インフルエンザ検査
基準値
陰性(-)
■簡易測定キット検体の採取方法と判定
◆どちらも1本の場合 →A型陰性・B型陰性
◆どちらも2本の場合 →A型陽性・B型陽性
◆どちらか一方が2本の場合
→A型陽性・B型陰性
→A型陰性・B型陽性
インフルエンザウイルスの感染の有無を調べる検査です。毎年、必ず流行ります。生活習慣を整えて免疫力を高めておくことが何より大切です。
インフルエンザとは
インフルエンザ(インフル)は38℃以上の高熱、頭痛や関節痛、筋肉痛を急に発症する病気です。咽喉の痛みや鼻汁、咳などの症状も現れます。
インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、核蛋白と膜蛋白の違いによりA型、B型、C型の3種類に分類され、流行的な広がりをするのはA型とB型です。A型はさらに、ウイルス表面の赤血球凝集素(HAもしくはH)と酵素(ノイラミニダーゼ:NAもしくはN)により多くの亜型に分類されます。B型も同様な蛋白をもっていますが、1つの亜型しかありません。
また、B型はヒトへの感染が主ですが、A型はヒトばかりでなく、哺乳類や鳥類にも広く分布しています。この鳥類に存在するA型がヒトに感染したのが、鳥インフルエンザです。
鳥インフルエンザは、もともとは弱毒性ですが、H5とH7の亜型の鳥ウイルスの中に突然変異を起こし、強毒性をもつウイルスが出現します。これを「H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス」といいます。昨今話題になっているのは、このA型のうちH5N1型のウイルスです。
感染していれば陽性に
インフルエンザの診断は、高熱や咽喉の痛み、関節痛などの症状により疑い、簡易測定キットを用いて、ウイルスの存在の有無により診断するのが最もポピュラーな手順です。鼻腔ぬぐい液や咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液を滅菌した綿棒や吸引用チューブで採取して、これをパネルの検体添加部に添加すると30分程度で結果が出ます。図のように、AとBのところに沈降線が形成されれば陽性で、そのウイルスに感染していると診断できます。
ただし、十分なウイルス量がないと沈降線ができませんから、感染初期では偽陰性となることもあります。また、この簡易キットではA型かB型かの診断はできますが、新型インフルエンザか否かの判定はできません。この判定にはPCR法という感度の高い検査が必要ですから、専門の施設に検査を依頼することになります。
治療法
これらのインフルエンザウイルスに対する治療薬には、内服薬としてアマンタジン(商品名:シンメトレルなど)とオセルタミビル(タミフル)、吸入薬としてザナミビル(リレンザ)とラニナミビル(イナビル)、注射薬としてペラミビル(ラピアクタ)があります。アマンタジンだけはA型のみが適応で、その他はA型、B型にも有効です。
インフルエンザ検査の限界・問題点
①検体の種類・採取手技(選択)
鼻腔ぬぐい液・鼻腔吸引液(80%)、咽頭ぬぐい液(60%)
②検出限界:感度・特異度
ウイルスコピー数(ウイルス量)に 依存(量的に一定量)
③採取(検出)時期
発病2日以内
④簡易測定キット
偽陽性、偽陰性
医師が使う一般用語
「インフル」「インフルエンザ」=インフルエンザから
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報