ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォルフェンソン」の意味・わかりやすい解説
ウォルフェンソン
Wolfensohn, James
[没]2020.11.24. アメリカ合衆国,ニューヨーク,ニューヨーク
ジェームズ・ウォルフェンソン。オーストラリア生まれのアメリカ合衆国の銀行家。フルネーム James David Wolfensohn。1995~2005年国際復興開発銀行(世界銀行)総裁として,世界の貧困削減を世界銀行の使命の中心に位置づけるべく尽力した。オーストラリア空軍では航空士官であり,1956年のメルボルン・オリンピック競技大会ではオーストラリアのフェンシング代表チームのメンバーだった。シドニー大学で 1954年に学士号,1957年に法学士号を取得。1959年にハーバード大学で経営学修士 MBAを取得。投資銀行家(→投資銀行)として優れた業績を上げ,ソロモン・ブラザーズ在職中にはクライスラーの再建を監督し,14年にわたり投資会社ジェームズ・D.ウォルフェンソンの社長兼最高経営責任者 CEOを務めた。人道家であると同時に優れたチェロ奏者であり,1980~91年にはニューヨークにあるカーネギー・ホールの理事長を務め,在任中に改修工事を成功に導いた。また 1990~95年にワシントンD.C.のケネディ舞台芸術センターの評議委員長も務めた。1980年にアメリカの市民権を取得。1995年6月1日,世界銀行の第9代総裁に就任。融資残高拡大を成果の指針とするのではなく,貧困の削減,持続可能な開発,社会的正義の達成に重点を移行させることに努めた。2000年に再任されて 5年の任期を 2期務め,2期以上務めた歴代 3人目の総裁となった。退任に際し,中東和平プロセスを仲介するロシア,アメリカ,ヨーロッパ連合 EU,国際連合によって中東特使に任命され,2006年まで在任。同 2006年,ブルッキングズ研究所にウォルフェンソン開発センターを設立した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報