翻訳|Melbourne
オーストラリア南東部、ビクトリア州の州都。シドニーに次ぐ同国第二の都市。大都市としてのメルボルンの範囲は一定していないが、統計局の定義による面積7693.7平方キロメートル、市街地人口は336万6542(2001)。この市街地は、ポート・フィリップ湾の湾奥に注ぐヤラ川下流部に位置する都心部(狭義のメルボルン市)を中心に、52の地方自治体の全域あるいは一部にまたがって広がる。さらに社会・経済統計用の統計地区として、56の地方自治体を包含する広義のメルボルン都市圏をさすことも多い。基本的な行政サービスは各地方自治体が行うが、都市計画、都市交通、上下水道など都市運営事業の多くは、それぞれの事業主体あるいは州政府機関によって広域的に行われる。気候は西岸海洋性気候(Cfb)で、平均気温は最暖月(2月)が20.8℃、最寒月(7月)が10.3℃、年降水量は659ミリメートルである。オーストラリア大陸の五大都市のなかではもっとも冷涼で晴天日数が少ない。
[谷内 達]
シドニーと並ぶオーストラリアの産業、交通、文化の中心地であり、同国の代表的な工業・港湾都市である。商工業、金融関係の従事者数は州の8割以上を占める。工業の従事者数と生産額は全国の4分の1以上に達し、シドニーと1、2位を争う規模で、とくに繊維・衣料品、自動車、機械、化学に特色がある。港湾は都心部付近から下流のヤラ川沿岸とポート・フィリップ湾岸にあり、州の海外輸出入額の9割近くを取り扱う。とくに海外輸入額ではシドニーに次いで同国第2位で、全国の約3割を占める。市街地の北西部にあるメルボルン(タラマリン)空港はシドニーに次ぐ同国第二の国際空港である。文化施設としては、美術館とコンサートホールなどの機能を備えたビクトリア芸術センター(1968開館)をはじめ、博物館、図書館などが整っている。またメルボルン大学(1853創立)、モナシュ大学(1961創立)、ラトローブ大学(1967創立)ほか多くの高等教育機関がある。
[谷内 達]
都心部では、最初に建設された幅半マイル、長さ1マイル(1マイルは約1.6キロメートル)の区域を中心に、オフィス、商店が集中しており、古い建物や路面電車にみられる伝統的な面と高層ビルの並ぶ現代的な面とをあわせもっている。都心部の周辺には王立植物園など多くの公園や、1956年のオリンピックの主会場となったクリケット場、メルボルン・カップで知られるフレミントン競馬場などがある。郊外住宅地は主として東・南東方向に広がり、鉄道・バス路線網が放射状に延びている。
[谷内 達]
メルボルンの歴史は1835年のバットマンJohn Batman(1800―40)による私的入植に始まるが、37年に公的に入植地となり、当時のイギリス首相の名にちなんで命名された。1842年に自治体(町)となり、47年に市となった。1850年代のゴールド・ラッシュ以降、羊毛輸出やビクトリア植民地の保護関税政策による工業化を背景に、19世紀後半にはオーストラリア第一の都市として成長した。連邦結成当初の1901~27年には連邦首都であった。
[谷内 達]
オーストラリア南東部,ビクトリア州の州都。人口364万(2005)。シドニーに次いでこの国第2位。平均気温は最暖月(1月)19.9℃,最寒月(7月)9.6℃,年降水量は691mm。市街地はポート・フィリップ湾の湾頭に注ぐヤラ川下流部に位置する都心部を中心に52の地方自治体にまたがって広がり,市街地面積は東京特別区部の約2.5倍に達する。メルボルンの歴史は1835年の私的入植に始まり,42年に自治体(町),47年に市となった。50年代のゴールド・ラッシュ以降,羊毛輸出や保護関税政策による工業化を背景に,19世紀後半にはオーストラリア第1の都市として成長した。連邦結成当初の1901-27年には連邦首都であった。56年にオリンピックが開催された。名称は公式開基(1837)当時のイギリス首相名に由来する。
シドニーと並んでこの国の産業,交通,文化の中心都市である。工業生産額は全国の1/4以上に達し,繊維・衣料品,自動車,機械,化学に特色がある。港湾は都心部付近から下流のヤラ川沿岸とポート・フィリップ湾岸にあり,州の海外輸出入額の大部分を取り扱い,この国第2の輸入港である。市街地北西部のメルボルン(タラマリン)空港はこの国第2の国際空港である。文化面では美術館とコンサートホールを兼ねたビクトリア芸術センター(1968開館)をはじめ博物館,図書館などがあり,メルボルン大学(1853創立),モナシュ大学(1961創立),ラ・トローブ大学(1967創立)がある。オフィス,商店の集中する都心部には古い建物や路面電車と現代的高層ビルとが共存し,周辺には王立植物園など多くの公園や,オリンピックの主会場となったクリケット場,メルボルン・カップ・レースで知られるフレミントン競馬場などがある。
執筆者:谷内 達
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