ウチワムシ(英語表記)ghost walker
Mormolyce phyllodes

改訂新版 世界大百科事典 「ウチワムシ」の意味・わかりやすい解説

ウチワムシ
ghost walker
Mormolyce phyllodes

甲虫目ゴミムシ科の昆虫和名体形うちわに似ることに由来するが,バイオリンに似るところからバイオリンムシとも呼ばれている。成虫体長は6~8cm。茶褐色で光沢がある。その特異な形態からマニアに人気がある。ミャンマーマレー半島スマトラ島ジャワ島ボルネオ島の森林に生息する。成虫は活発に行動し,朽ちた倒木の樹皮下朽木に生えたサルノコシカケキノコ)上で昆虫類を捕食する。触れると強い酸性の液を射出する。幼虫はキノコの内部にもぐりこみ食菌性昆虫の幼虫を捕食し,キノコの中で蛹化(ようか),羽化後は上翅が硬化する前にキノコから脱出するという。ウチワムシ類Mormolyceは6種が知られているが,いずれもマレー半島,スマトラ島,ジャワ島,ボルネオ島に分布する。ボルネオバイオリンムシなど3種はボルネオ特産である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウチワムシ」の意味・わかりやすい解説

ウチワムシ
Mormolyce phyllodes

甲虫目ゴミムシ科。特異な形態をした熱帯性のゴミムシの1種。全体を上から見た形からこの名があり,またバイオリンムシともいわれる。体長 60~80mm。体は平たく茶褐色,頭部は細長く,触角細い。前胸背の側縁に刻みがあり,腹部は本来の上翅部分に加えて,左右の側縁から薄焼きのせんべい状の平たい突出物をもつ。熱帯ジャングル内のサルノコシカケ上で生活する肉食性の昆虫で,形態,生態ともゴミムシ類と思えないものである。マライ半島,ボルネオ島,スマトラ島,ジャワ島に分布する。近縁の数種もこれらの地方にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウチワムシ」の意味・わかりやすい解説

ウチワムシ
うちわむし / 団扇虫
ghost walker
[学] Mormolyce

昆虫綱甲虫目ゴミムシ科の1属の総称。マレー半島、ジャワ島、スマトラ島、ボルネオ島に4~5種類が分布している。体長60~85ミリメートル前後。体色は褐色ないし黒褐色で、頭と前胸は細い。上ばねは平たくて周縁が広く水平に広がり、全体として団扇のような形をしている。触角、肢(あし)は細くて異常に長い。森林中にすみ、立枯れの木の空洞や枯れ木の皮下などに隠れる。また枯れ木のキノコに集まるという。枯れ木やキノコなどに集まる昆虫を捕食しているものと考えられる。

[中根猛彦]


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