日本大百科全書(ニッポニカ) 「うっ血」の意味・わかりやすい解説
うっ血
うっけつ
局所的な血液循環障害の一つで、静脈血の局所からの流出が妨げられて、組織、臓器に血液が滞っている状態をいう。血液、リンパ液および組織液を総称する「体液」は全身を循環しているので、この循環に障害がおこれば、当然のことながら種々の影響が現れる。全身的な場合もあれば、局所的な場合もあり、局所的な障害の一つとしてうっ血がある。うっ血は、静脈管が外から圧迫されても、また血栓などによって内腔(ないこう)が狭くなってもおこり、心臓および肺臓の疾患による全身の血液循環障害の部分現象としても認められる。うっ血が長引くと、皮膚や粘膜は冷たく、青藍(せいらん)色となるが、この状態を青色症(チアノーゼ)とよぶ。さらに長期のうっ血の結果、浮腫(ふしゅ)(水腫ともいい、いわゆる「むくみ」)を生ずることが多く、また結合組織線維が増加して臓器が硬化をおこすこともある。
[渡辺 裕]