ウミリンゴ(読み)うみりんご(その他表記)cystoid

翻訳|cystoid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウミリンゴ」の意味・わかりやすい解説

ウミリンゴ
うみりんご
cystoid
[学] Cystoidea

棘皮(きょくひ)動物の有柄(ゆうへい)亜門に属する海生の化石動物。化石としては萼(がく)部(体骨格の中心部分)が産出することが多く球形、洋ナシ形、卵形、半球形などの形状で、十数枚から200枚ぐらいの多角形の石灰板の集合よりなっている。形状は変化が多いが、ウミユリウミツボミのような放射対称を示さないものが多く、有柄類中では原始的なものとされている。5方向に伸びる明らかな歩足溝をもち、ヒトデ類を思わせるものもあるが、この溝は採餌(さいじ)に関係があるとされ、摂食溝などの名がある。萼の上部から、2本あるいは多数の腕または羽枝を出すものもある。有柄のものはこれで他物に巻き付いた。萼上に菱(ひし)形の小石板のあるものもある。古生代オルドビス紀前期に現れ、デボン紀末まで生息したが、シルル紀にもっとも栄えた。日本では未発見である。

[藤山家徳]

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改訂新版 世界大百科事典 「ウミリンゴ」の意味・わかりやすい解説

ウミリンゴ (海林檎)

オルドビス紀中期~デボン紀後期に栄えた原始的な有柄棘皮(きよくひ)動物の絶滅綱Cystoidea。一般に球状の苞(ほう)からなり,苞は多くの不規則な石灰板でおおわれている。重要な形質は石灰板の孔の性質食物を摂取する指板である。苞または柄で直接海底地物に固着して生存していた。
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百科事典マイペディア 「ウミリンゴ」の意味・わかりやすい解説

ウミリンゴ

海産の絶滅棘皮(きょくひ)動物。オルドビス紀ペルム紀。苞(ほう)と柄よりなり,柄の端で固着した生活をする。苞は球形,卵形,袋形などで,多数の石灰板におおわれる。石灰板は四〜六角形,不規則な多角形などを呈し,数もいろいろ。

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