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棘皮動物 きょくひどうぶつEchinodermata; echinoderm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

棘皮動物
きょくひどうぶつ
Echinodermata; echinoderm

棘皮動物門に属する動物の総称。体は5放射相称形で,内部に石灰質の骨板あるいは骨片をもつ。また水管系をもち,これによって運動,呼吸,排泄などを行なっている。すべて海産で,ウニのある種を除いて底生生活をするが,幼生はすべて左右相称形で,自由遊泳をする。起源は古く,カンブリア紀に出現し,オルドビス紀にはすでに主要なものがほとんど現れていた。現生のものは約 6000種が知られており,ウミユリ綱ヒトデ綱,クモヒトデ綱,ウニ綱,ナマコ綱に分けられる。 (→ウニ類 , ウミユリ類 , クモヒトデ類 , ナマコ類 )

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デジタル大辞泉の解説

きょくひ‐どうぶつ【×棘皮動物】

動物界一門。体は五方向に放射相称で、石灰質の骨片か殻をもち、骨板上にさまざまの形のとげをもつ。運動器官として管足をもち、体内の水管系につながる。幼生は左右相称。すべて海産。ウニナマコヒトデウミユリクモヒトデの5綱に分けられる。

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百科事典マイペディアの解説

棘皮動物【きょくひどうぶつ】

無脊椎動物の一門。成体の体は5放射相称を示し,皮下に石灰質の骨板からなる堅固な内骨格をもつ。呼吸,循環,運動に関係する特有な水管系が発達している。神経系は脳を欠き,感覚器官の発達は悪い。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょくひどうぶつ【棘皮動物 Echinodermata】

動物分類学上,1門を構成する動物群。ウニ,ヒトデ,ナマコ類などが含まれ,すべて海産。現生は世界に約7350種が知られている。体は5放射相称で,石灰質の骨板やとげなどの内骨格が皮下にあり,また水管系という特別な器官をもっていることがこの動物の共通の特徴である。ラテン名はechino(とげのある),derma(皮膚)の意。棘皮動物は有柄(ゆうへい)亜門と星形(せいけい)亜門に分けられ,有柄亜門にはウミユリ綱を,星形亜門にはナマコ綱,ヒトデ綱,ウニ綱,クモヒトデ綱などが含まれる。

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大辞林 第三版の解説

きょくひどうぶつ【棘皮動物】

動物分類上の一門。すべて海産。体は球形・円板形・円筒形・星形などで、五方向の放射相称を示す。体壁にカルシウム性の骨片を含むか、カルシウムの結合による石灰板の堅固な骨格を作る。雌雄異体。呼吸・循環・運動に関係する特有の水管系をもつ。ウニ・ヒトデ・ナマコ・ウミユリなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

棘皮動物
きょくひどうぶつ
echinoderm

動物界の分類上、最上位の階級である門を構成する動物の一群。現生の種類としては、ウミユリ類、ナマコ類、ヒトデ類、ウニ類、クモヒトデ類の5綱が含まれる。起源は古く、古生代初頭のカンブリア紀にすでに現れ、ウミユリ類と化石の諸群は古生代に大繁栄を遂げた。古生代末期から中生代前期にかけてはやや衰退するが、ジュラ紀より現在に至るまで、世界の海洋でなおよく繁栄を続けている。
 棘皮動物の名は、ギリシア語のechino-derma(ハリネズミのような皮膚をもつものの意)に由来する。棘皮動物のなかには確かにその名のとおり、棘(とげ)をもつものが多いが、棘をもつことがこの動物群の特徴とはいえない。棘皮動物の本質的な特徴としては、(1)外形や器官の配列が5方向に放射相称であること、(2)表皮の下に多数の石灰質の骨板があること、(3)体表に管足という伸縮する多数の細管をもち、それが薄膜からなる体内の水管系につながっていること、の3点があげられる。
 棘皮動物の生態的特徴は、その体制的特徴をよく反映している。放射相称というのは、元来植物的な体制であり、上下周囲の空間に対して定位置でじっとしたまま餌(えさ)を待つのが基本となる。有茎ウミユリ類はそのもっとも典型的な例で、植物そっくりの外観をして、固着生活を送る。ナマコやウニ類の一部のものは例外的に前後に方向性をもっているが、その体の内部構造には五放射相称制の名残(なごり)がみられ、体の移動はきわめて緩慢である。皮下の骨板については、棘皮動物の体を硬くし、敵から身を守るのに有効である一方、体重を大きくして体の動きを鈍くしている。骨板はウニ類の場合、集合して互いに接着し、全体が殻となっているが、ナマコ類の場合は退縮して顕微鏡下でなければ認められないほどの小骨片となっている。棘は骨板と同一起源のもので、ウニ類の場合は、その1本1本を動かすことができる。ウニ類とヒトデ類の一部のものは、さらに叉棘(さきょく)という開閉する小さなピンセット状のものをもち、外敵を防いだり、体表の清掃に用いる。管足は棘皮動物が動物らしく生きるうえでもっとも重要な器官で、体の移動、摂餌(せつじ)、呼吸、感覚など、いろいろな目的に使用される。管足を体の移動に用いるのはウニ類、ヒトデ類、ナマコ類の大半のもので、それらの種類では管足の先端に吸盤をもつ。摂餌と呼吸にはすべてのものが管足を用いるが、ナマコ類では口の周りの管足が摂餌専用の大きな周口触手となり、ウニ類の一部のものでは殻上面のものが呼吸専用の花紋えらとなっている。
 棘皮動物の内臓器官系は、消化、水管、血洞、神経、生殖系からなっている。水管系はすべてのグループでよく発達していて、とくに管足に吸盤をもつものでは、その体内部分が壜嚢(びんのう)という大きな袋になり、管足腔(こう)内の水圧を調節している。水管系は五放射状に配列し、口の周りでは環状となる。さらに石管という1本の管を経て、ウニ類とヒトデ類の場合は多孔(たこう)板というふるい状の板に至り、外界に通じている。血洞系と神経系の配列も水管系に準じる。心臓や巨大神経節はない。血洞系には腺(せん)組織からなる軸器官が付属する。生殖巣は水管系と交互の位置に五放射状に配列する。雌雄異体のものが多いが、同体のものもあり、卵胎生のものや保育習性をもつものも知られている。発生様式は脊椎(せきつい)動物と同系統で、放射卵割(らんかつ)、新口(しんこう)動物、腸体腔(たいこう)動物群型をとる。幼生は左右相称形で、普通、浮遊生活を経たのち、変態して底生生活に入るが、直接発生するものもある。
 なお、人間との関係としては、食用としてウニ類の生殖巣、ナマコ類の体壁、消化管、生殖巣が利用される。一方、ヒトデ類による有用二枚貝類の食害があり、ウニ類のなかには棘に毒腺をもち、それに刺されると痛みがひどく、膨れ上がる危険なものもいる。[重井陸夫]

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世界大百科事典内の棘皮動物の言及

【動物】より

… 動物の化石は先カンブリア時代末期からも発見されているが,それらはきわめて不完全である。しかしカンブリア紀になると,原生動物の有孔虫や放散虫,海綿動物のフツウカイメン(普通海綿),腔腸動物(刺胞動物)のクラゲ,棘皮(きよくひ)動物のウミユリ,星口(ほしくち)動物,軟体動物,環形動物の多毛類,節足動物の三葉虫,鋏角(きようかく)類および甲殻類など,形態的にはっきり異なった門が突然現れるので,各門の間の系統的な関係を化石をたどって確かめることはほとんど不可能である。したがって門の間の系統関係(図)は,形態や発生から推定するほかない。…

※「棘皮動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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