改訂新版 世界大百科事典 「オオカサモチ」の意味・わかりやすい解説
オオカサモチ
Pleurospermum austriacum(L.)Hoffm.ssp.uralense(Hoffm.)Somm.
山地や北方の草原に生えるセリ科の多年草。茎は直立して高さ1m内外に達し,基部から先まで隔壁がなく中空である。下部の葉は長い葉柄があり,2~3回羽状複葉。上部の葉はだんだん小型になって葉柄も短くなる。脈上や葉の縁には毛状の細突起がある。花は7~8月ごろ,茎の先端や小枝の先に多数の複散形花序を作り,花序の基部には総苞片がある。花弁は5枚で白色,小さく,先は内に巻いている。果実は長さ6~7mm,卵形で横断面はほぼ球形,分果の背面に肋(ろく)が隆起し,小突起がある。本州中部地方以北から,中国北部,カムチャツカ,シベリアに分布する。朝鮮では若芽を食用にしている。
オオカサモチ属Pleurospermumは世界に約15種あって,ヒマラヤからユーラシア大陸の温帯に分布する。
執筆者:村田 源
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