オオブッポウソウ(その他表記)cuckoo roller
Leptosomus discolor

改訂新版 世界大百科事典 「オオブッポウソウ」の意味・わかりやすい解説

オオブッポウソウ (大仏法僧)
cuckoo roller
Leptosomus discolor

ブッポウソウ目オオブッポウソウ科Leptosomatidaeの鳥。この科はオオブッポウソウ1種だけからなり,マダガスカル島コモロ諸島の特産。全長約41~46cm。ブッポウソウ科の鳥に似ているが,ひと回り大型なのでこの名がある。類縁関係はおそらくブッポウソウ科にいちばん近いが,解剖学上いろいろな点で異なっている。雄は頭上から頸部(けいぶ)は灰色,後頭部は黒く,後頸部は灰色。背と翼上面,尾羽は虹色光沢のある暗灰色。胸腹部は白色。雌は雄よりやや大きく,頭部は褐色,背,翼上面,尾は淡褐色,胸腹部は黄白色で,頭部と胸腹部にはよく目だつ黒色斑がある。くちばしは太くてじょうぶで暗灰色。つがい,または小群で森林に生息し,渡りはしない。おもに樹上で各種の大型の昆虫トカゲ類などの小動物をとって生活している。繁殖生態は詳しく研究されていないが,樹洞土手の穴に営巣するといわれている。1腹の卵数は3個前後。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオブッポウソウ」の意味・わかりやすい解説

オオブッポウソウ
Leptosomus discolor; cuckoo roller

オオブッポウソウ目オオブッポウソウ科。全長 40~50cm,雌雄とも短い冠羽(→羽冠)があり,頭部が大きく,趾(あしゆび)は前後に 2本ずつ向く対趾足である。羽色は雌雄で大きく異なる。雄の背,,尾羽は虹色の光沢のある暗緑色,頭部と胸はやわらかな灰色で,下腹部に向けてしだいに白くなる。雄だけに黒い過眼線がある。雌は背面が褐色で,頭部に暗色の横縞が密にある。腹面は白っぽい褐色地に褐色の斑がある。マダガスカル島とコモロ諸島にのみ分布する。ほとんど樹上で暮らし,昆虫類や爬虫類などを食べる。1科 1属 1種で,ブッポウソウ目などと類縁が近いと考えられているが,分類は遺伝子の研究でも明確になっておらず,独立した目が設けられている。(→ブッポウソウ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオブッポウソウ」の意味・わかりやすい解説

オオブッポウソウ
おおぶっぽうそう / 大仏法僧
kiromba
[学] Leptosoma discolor

鳥綱ブッポウソウ目オオブッポウソウ科の鳥。この科にはオオブッポウソウただ1種が属し、ブッポウソウモドキともよばれる。マダガスカル島およびコモロ諸島に分布する。全長約50センチメートル、嘴(くちばし)は大きくて尾は長い。第4趾(し)は前にも後ろにも向く。雄は背がスレート色で金属光沢があり、下面は灰色。雌では上面は赤褐色、下面は淡赤褐色で黒斑(こくはん)がある。森林にすんで群れをつくり、主として昆虫をとるが、カメレオンやトカゲも食べる。高い木の穴に4~5卵を産む。

高野伸二

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