オクナ(英語表記)Ochna

改訂新版 世界大百科事典 「オクナ」の意味・わかりやすい解説

オクナ
Ochna

常緑あるいは落葉の双子葉植物オクナ科オクナ属の樹木。アジア,アフリカ,南アメリカの熱帯域に低木あるいは高木になる約30種が知られる。葉は光沢があり革質で,互生し,葉縁には細かな鋸歯がある。托葉はない。花は枝に頂生する花序に1個から多数がつき,萼片は5枚で宿存する。花弁は5ないし10枚。おしべは多数。子房は深く3~10裂し,各1個の種子を形成するため,実は発達した果托に数個の核果をつけた奇妙な形をとる。

 花や奇妙な果実を観賞するためアフリカ産で黄色の花をつけるオクナ・ムルティフローラO.multiflora DC.が温室で栽培される。熱帯では他に数種が公園や街路に栽植される。種子には油を含有する。

 オクナ科Ochnaceaeは熱帯域に約40属500種が分布しており,ほとんどは木本植物である。マタタビ科,ツバキ科それにオトギリソウ科などに類縁が認められ,それらのうちで比較的原始的な群であると考えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクナ」の意味・わかりやすい解説

オクナ
おくな
[学] Ochuna L.

オクナ科の半落葉性花木。原産地は南アフリカ。葉は濃緑色、縁(へり)に細鋸歯(さいきょし)があり、長楕円(ちょうだえん)形。3~4月に明黄色の花をつける。果実は緑色で、のちに暗黒色となり、赤色の萼(がく)との対比がおもしろく、羽子板(はごいた)の羽のような形になる。花と果実が同時に観賞できる。半耐寒性なので冬期は鉢植えにして室内で管理する。繁殖は実生(みしょう)でよく殖える。黒く熟した種子を初夏のころ平鉢(ひらばち)に播(ま)き、軽く覆土し、発芽まで乾燥しないよう十分に灌水(かんすい)する。発芽後本葉が4、5枚のころ3号鉢に移植する。播種(はしゅ)後3年くらいで開花する。

[金子勝巳]


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