ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナシス」の意味・わかりやすい解説
オナシス
Onassis, Jacqueline Kennedy
[没]1994.5.19. ニューヨーク
アメリカ第 35代大統領 J.F.ケネディの夫人。 1951年ジョージ・ワシントン大学卒業後,2年間『ワシントン・タイムズ・ヘラルド』誌のカメラマン,コラムニストとして勤務するが,53年9月にマサチューセッツ州出身の上院議員,ケネディと結婚。 57年に長女キャロラインを出産,60年ケネディ大統領就任の際には長男ジョン2世を身ごもっていた。その後,気品とファッショナブルな装いで大統領夫人として,国内外で人気を博した。しかし,63年ダラスでの大統領暗殺事件後は,息子ジョンへの献身的な母親というイメージに変容した。 68年にはギリシアの海運王 A.S.オナシスと結婚してギリシアに移住するが,75年のオナシス死去後ニューヨークに戻り,出版社ダブルデーの編集者として活躍。 94年の死去後,遺言によりケネディ大統領の隣 (アーリントン国立墓地) に埋葬された。
オナシス
Onasis, Aristotle Socrates
[没]1975.3.15. パリ
ギリシアの海運王。 1922年,トルコ軍によるスミルナ占領後,ブエノスアイレスへ単身移住して電話会社に勤務。タバコ輸入業で富を築き,30年にはアルゼンチンのギリシア総領事に就任。海運業の出発点は,31年に購入した6隻の中古船であった。その後,世界大恐慌を追い風にして,超安価で中古船を大量に購入。海運市場が回復する頃には,低賃金でギリシア船員を便乗させて便宜置籍国に登録し,オナシス・ファミリーで経営管理するという独特な経営戦略で不定期船市場に基盤を築いた。第2次世界大戦後は,2人の子どものアメリカ市民権名義でニューヨークに海運会社を設立し,アメリカ国有船の払下げとタンカー建造の政府融資を受けることに成功して,一大海運王の地位を得た。また歌手 M.カラスとの恋愛,ケネディ大統領夫人ジャクリーンとの結婚 (1968) などでも話題を集めた。
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