オメガ・ケンタウリ星団(読み)おめがけんたうりせいだん(その他表記)ω Centauri

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オメガ・ケンタウリ星団」の意味・わかりやすい解説

オメガ・ケンタウリ星団
おめがけんたうりせいだん
ω Centauri

南天ケンタウルス座にあり(赤経13時27分、赤緯マイナス47度29分、2000年分点)、われわれにもっとも近い球状星団の一つである。NGC5139。ω星団(オメガせいだん)ともいう。肉眼で見た明るさは約3.6等級あり、太陽からの距離は約1万7000光年と推定されている。全体では太陽の数百万倍の質量をもち、200個近い変光星を含んでいる巨大な星団である。理論的な視直径は2度近くあるが、通常見ることのできる大きさははるかに小さく、やや扁平である。百数十億年前に誕生したもっとも古い星団の一つと考えられているが、矮小(わいしょう)銀河の中心部ではないかとする説も出されている。星団の物理的性質を特徴づける水素より重い元素の含有率は個々の星々で大きなばらつきを示す。理論的研究の対象として重要である。

[吉澤正則・藤井 旭]


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改訂新版 世界大百科事典 「オメガ・ケンタウリ星団」の意味・わかりやすい解説

オメガ・ケンタウリ星団 (オメガケンタウリせいだん)
ω-Centauri star cluster

NGC5139。南天のケンタウルス座にある球状星団。15′あまりに広がっていて,全体の明るさが3.6等級と大きくて明るい球状星団である。肉眼でも見える天体であるので,ケンタウルス座のω星という星の名まえがつけられている。星団は数万個の星々で構成され,球状を呈しているので球状星団と呼ばれている。あまりに多くの星々が密集しているので,中心部分では個々の星を分離して観測できない。この星団の星々は,銀河系が誕生してからまもない百数十億年前にできたものである。そのため年齢の若い青い星はなく,赤っぽい星が多い。星団の内部にはガスはほとんどない。1万6000光年の距離にある。銀河面から離れたところにあるので,距離が遠くても観測することができる。
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百科事典マイペディア 「オメガ・ケンタウリ星団」の意味・わかりやすい解説

オメガ・ケンタウリ星団【オメガケンタウリせいだん】

ケンタウルス座にある球状星団。NGC5139。数万個の星からなり,肉眼でも見える。距離1万6000光年。

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