翻訳|Horace
フランスの劇作家ピエール・コルネイユの五幕韻文悲劇。1640年初演・刊。アルブの貴族キュリアスの妹サビーヌはローマの騎士オラースに嫁ぎ、オラースの妹カミーユはキュリアスと婚約しているが、両国の戦争状態で、ともに苦しんでいる。和議の結果、両軍の代表としてオラースとキュリアスの3兄弟同士が決闘することになり、男たちは2人の女の哀願を退けて義務に従う。女たちとオラースの老父の目の前で、弟2人を殺されたオラースは逃げるとみせて逆襲し相手を全滅させるが、その非情をののしった妹をも殺して裁判にかけられ、老父と妻との協力で無罪となる。キュリアスおよび女性の苦悩とオラース父子の愛国的激情の対比が有名。
[岩瀬 孝]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ところがこの画期的成功をねたむ劇作家たちから三統一の規則への違反,盗作と非難され,ここに〈ル・シッド論争〉が起きた。3年間沈黙したのち,今度は規則に合致した三大意志悲劇の傑作,祖国愛を扱う《オラース》(1640),寛容を説く《シンナ》(1642),殉教を語る《ポリュークト》(1642)を発表,不滅の地位を築いた。以後も絶えず新しい演劇を探求し,喜劇《噓つき男》(1644),悲劇《ロドギュンヌ》(1644),《ニコメード》(1651)と傑作を発表。…
※「オラース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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