日本大百科全書(ニッポニカ) 「オラース」の意味・わかりやすい解説
オラース
おらーす
Horace
フランスの劇作家ピエール・コルネイユの五幕韻文悲劇。1640年初演・刊。アルブの貴族キュリアスの妹サビーヌはローマの騎士オラースに嫁ぎ、オラースの妹カミーユはキュリアスと婚約しているが、両国の戦争状態で、ともに苦しんでいる。和議の結果、両軍の代表としてオラースとキュリアスの3兄弟同士が決闘することになり、男たちは2人の女の哀願を退けて義務に従う。女たちとオラースの老父の目の前で、弟2人を殺されたオラースは逃げるとみせて逆襲し相手を全滅させるが、その非情をののしった妹をも殺して裁判にかけられ、老父と妻との協力で無罪となる。キュリアスおよび女性の苦悩とオラース父子の愛国的激情の対比が有名。
[岩瀬 孝]